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はじめに


脊椎外科では術後硬膜外血腫の予防で硬膜外にドレナージチューブを留置します。

疼痛管理のために硬膜外カテーテルを留置することはありません。
なので、硬膜外麻酔のカテーテルのトラブルを経験することはないです。

そんな折に、関連病院から相談がありました。


TKA術後の硬膜外麻酔カテーテル抜去の際に
カテーテルが断裂して脊柱管内に遺残してしまったので
当院に転院して抜去してほしい、とのことでした。

初めてのことで少し驚きました。
わざわざ転院してもらわなくとも、自分が出向きますよ、ということで
万が一椎弓切除することになってもいいように、器具を準備して伺いました。

幸い、小切開でカテーテル先端をすぐに捉えることができました。
今後に活かしたい、と、麻酔科のDrが立ち会ってくださって
可能なら画像を撮像してもらえませんか、ということで
マイクロ顕微鏡下に撮像しながら抜去しました。

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機序の考察の詳細は麻酔科の先生の判断に任せましたが、
印象としては、
変性して硬くなった棘間靭帯にひっかかっている感じと、
手技上でチューブが物理的に損傷されたことが
重なったのかな、と。

気になったので医中誌を検索してみるといくつか症例報告がありました。

・カット面を電子顕微鏡でチェックすると鋭利であったため、
手技において物理的損傷を起こした可能性があるので気をつけようという考察
・椎間関節で固定されており抜去の際にチューブにストレスがかかったという報告
・局所麻酔下の小切開で抜去できず、無症候であったため、患者同意のもと遺残状態で経過観察
など。

硬膜外麻酔の総説にも、合併症のひとつに、カテーテル切断による体内遺残と記されておりました。

手技というのはあらゆる局面において合併症が存在します。
「他山の石以て玉を攻むべし」
と考えさせていただいた症例でした。