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頚椎前方除圧固定術をいたしました。
ドレーン管理についてまとめます。

術前後での咽頭後壁の軟部組織


まず、術前と術翌日の頚椎レントゲン側面像を供覧しましょう。
C5/6高位の前方除圧固定術です。

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違いがおわかりになるでしょうか?

答えは咽頭後壁の軟部組織の腫脹です。
一晩でかなり腫れています。
それに伴い気道が狭くなっています。

頚椎前方除圧固定術のドレーンの目的とは?


後方手術である頚椎椎弓形成術のドレーンの目的
硬膜外血腫の予防であったことに対して、

前方手術である頚椎前方除圧固定術のドレーンの目的は何でしょう?

ずばり、
窒息の予防
です。

頚椎前方手術では気道が閉塞してしまう恐れがあるのです。
これは緊急事態です!!
窒息なので、あっという間に生命の危機に及んでしまいます。

経験の浅い看護師さんに頚椎前方のドレーンの管理のポイントを尋ねると
たいてい、
・量が多くないか?
・皮下が腫れていないか?
・性状は血性か?髄液様になっていないか?
などと答えてくれます。

それはそれで正解ではありますが、

それなら、量が少なくて、皮下が腫れていなければ
安心していいのでしょうか。


そうです。
安心してはダメなのです。

頚椎前方固定術のドレーン管理でもっとも重要なこと


それは
呼吸パターンの悪化の徴候を見逃さないこと
です。

①安静呼吸
→よい

②喉の腫れ感、圧迫感、呼吸困難感

心配のはじまりです。
まず所見をとりましょう。
呼吸回数は増えていないか
頚部聴診で変な呼吸音(喘鳴、狭窄音)が聞こえないか

③呼吸困難
→努力用の呼吸、静脈の怒張、肋間筋の動き

④あえぎ、もがき、不穏
→チアノーゼ、呼吸停止

②の時点で心配していなければなりません。
③、④は緊急事態です。

「呼吸が止まりそうです!」
「SpO2が低下してます!」

この報告はもう危険がさしせまっています。
なんの危険か?
それは心停止です。
このままみるみる呼吸が止まってしまいます。
そして心停止に至ります。

脳に酸素が届きません。
脳のゴールデンタイムは2~3分です。

その間に主治医が来棟して、呼吸再開の処置が可能でしょうか?

気道が閉塞しているので、気管内チューブを留置するのは困難です。
病棟での緊急開創、気管切開が必要になることさえあるのです。

パルスオキシメーターでSpO2が低下した場合は、もう自力による上昇はないと思ってください。
SpO2が低下すれば、その次はあっと言う間に徐脈、心停止に至ります。



ドレーンの観察だけではダメ


一般的なドレーンの観察項目としては
1) バックの全体量、増加量、色調
2) ガーゼの汚染
3) 創部の腫脹、圧痛、皮下血腫
4) ドレーン閉塞の有無
5) 位置がぬけていないか
などでしょう。

頚椎前方固定術では、
・ドレーンの量が少なくても、
・ガーゼが汚染されてなくても、
・皮下血腫がなくても、
気道が閉塞することがあります。

外見上、把握することができない咽頭周囲の軟部組織が腫脹してしまうからです。

ドレーンの量では気道の閉塞は把握できません。
創部腫脹でも気道の閉塞は把握できません。
なぜなら、喉頭周囲の軟部組織の腫脹が原因のことがあるからです。
これは外見では把握は無理なのです。

怖くなりましたか?
わたしは頚椎前方手術後は、とっても怖いです。


脊椎疾患についての看護師さん待望の一冊です。