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一般的に腰椎椎間板ヘルニアは予後良好です。
薬物療法などの対症療法で、だいたい約80%くらいは対応できます。

残りに、
痛みの改善が困難で、生活の質が低下してしまうため
手術を余儀なくされる方がいらっしゃるわけです。

今回の症例も同様にヘルニアによる腰痛、左下肢痛がありました。
入院で安静加療のもと、
改善可能かどうか見極めて、ダメなら手術しましょう、
と経過をみているさなかのことでした。
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入院して8日目に、いきなり下記のような状態になりました。
①急激な、そして激烈な腰痛、臀部痛、下肢痛
②入院時の痛みとは比較にならないくらい痛みは激烈
③左下肢のみならず右下肢も
④さらにFHLの低下
⑤さらに膀胱直腸障害

なにが起こったんだ?
緊急でMRIを撮像すると、
髄核の大部分が硬膜外に逸脱して背側にまで回り込んでいるではありませんか?

ヘルニアの
PEM; posterior epidural migration
です。

002



入院安静中にこのようなケースが生じたのは非常にまれです。
救急病院にいると、すでに逸脱し、PEMを呈したケースが救急車で運ばれて来ることはあります。
その際は
鑑別として、
硬膜外膿瘍や、腫瘍、出血、juxta facet cyst
などが鑑別にあがります。

今回のように、PEMに陥ると重篤な神経脱落症状を呈します。

緊急で手術を行いました。
手術の難易度自体はとくに問題にはならないのですが、
排尿障害はまだ改善が得られておりません。

このような事態に陥ることが最初からわかっていれば
もっと早くに手術を行うことも可能なんでしょうが、
残念ながらPEMに陥る原因は不明です。
だからといって、予防的に手術を行うことになれば
予後が良好なヘルニアに対してover indicationになってしまいます、、、

今回は想定外の出来事で、たまたまなんです、、、
そういうことになるのですが、
そのまんま片付けてしまうのではあまりに進歩のない話です。

このようなケースは
症例の蓄積が大切なので、
どのような形でも必ずケースレポートにしたいと思っています。