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これまで述べたように、たくさんの神経モニタリングがあります。
より安全な脊椎手術を目指して。術中神経モニタリングの活用。
運動モニター、MEPとD-waveについて
感覚誘発電位、SEPについて
術中モニターにおいて、free run EMGに期待されること
筋電図モニターのチャンネル数はいくつがよいのか。

その組み合わせや、アラームポイントについて現在の考えをまとめます。

これらは技術の刷新によって、
時代とともにどんどん進化していくところなので
常に新しい勉強が必要です。

第13回の脊椎脊髄病研修コースで話された内容です。

モニターの適切な組み合わせは、
・当然ですが、singleよりはmultiple monitorがいい
・しかしやむえず、single monitorの場合は
  MEPが感度 82%
  SSEP、 50%
  Sp-SCEP、 33%
  感度・特異度の検討からMEPを用いるようにする。

・組み合わせに関する感度、特異度、偽陽性率、偽陰性率の検討では、
 MEPとD-waveの組み合わせが一番。

そしてアラームポイントについての検討では、
・MMTで、1レベルの筋力低下は、振幅の変化はさまざまで、
 変化率から術中に予測することは困難。
・MMTで2レベル以下の低下は振幅が30%以下であった。

つまり、Amplitudeがcontrol波形の70%以上の減少
を設定ポイントにすることがよさそうだ。

そして、その設定ポイントを用いて、
脊椎脊髄病学会モニタリング委員会は前向きの多施設調査を行い、
感度94.8%
特異度91.7%
と良好な結果を得た。
よって、MMT2レベル以下を防ぐひとつの設定ポイントは、振幅30%である。

ただし、頸髄髄内腫瘍ではFalse negative(波形変化ないが、麻痺になった)の症例もあったそう。

上肢は、より多チャンネルでとってこのようなことが起こりにくいように努めるのがよい

ということ。

まだまだ神経モニタリングは万能ではないところですが、
どんどん進化しております。
脊髄に対する不可逆な侵襲が加わる一歩手前で察知できるようになる。
これこそが、今後期待されているところです。