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脊椎骨折の手術治療
経皮的バルーン椎体後弯矯正術:BKP(balloon kyphoplasty)についてまとめました。

手術の目的


脊椎椎体骨折のため硬性コルセットを用いて安静加療を行います。
加療しているにも関わらず、体動時の痛みが頑固に持続している場合や、
椎体圧潰が進行している場合に、手術加療を行います。
経皮的バルーン椎体後弯矯正術とは、レントゲン透視を見ながら行う低侵襲手術の一つです。
小さな筒を骨折した椎体に挿入して、風船を筒の中から通して骨折椎体内で膨らませます。
膨らんだ風船の力をもって骨折で変形した椎体の形を可能な範囲で整復します。
次いで風船をしぼませて、形成された空間に骨セメントを注入して、骨折した椎体を安定化させます。椎体が安定すると、寝返りや寝起きなどの痛みの大部分が改善します。

手術の流れ


1. 全身麻酔で眠ってもらいます。
2. その後、スタッフで体の向きを腹ばいに変更します。
3. 背部左右に5mm程度の皮膚切開を行い、筒を骨折椎体に挿入します。
4. 風船を筒の中に通して骨折椎体内で膨らませます。骨折で圧潰した椎体がある程度整復されます。
5. その後風船を回収して、膨らんで形成された空間にレントゲン透視を見ながら
  骨セメントを注入して手術は終了です。
  約30~40分程度の時間です。
6. 閉創し、体の向きを最初のように仰向けにして麻酔から目覚めてもらいます。

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メリット


お灸よりも小さい傷で可能です。
切開をくわえないので、出血はほとんどしません。
体にかかる負担がすくない低侵襲手術のひとつです。

デメリット


骨セメントを使用することで生じるデメリットがあります。
1)骨セメントが骨折の隙間から漏れてしまうことが考えられます。
血管や、神経周囲に漏れると肺塞栓や神経障害をきたしてしまいます。
2)骨セメント自体が骨になることはありません。
よってセメント注入後も、骨折が進行・悪化していくと、
せっかく椎体内に注入したセメントが前方や上下方に逸脱してしまうことがあります。
3)セメントの強度と骨粗鬆症の椎体の強度に差が生じます。
そのため隣り合う椎体に負担がかかって、再骨折してしまうことがあります。

その他の手術の合併症として、腹腔内臓器や血気胸をきたした報告があります。
他にも造影剤や骨セメントに対してアレルギー反応が生じる場合や、
セメントを注入した後に血圧が低下したという報告があります。
硬膜損傷、神経損傷、感染症などの可能性があります。
深部静脈血栓や心・脳血管の血栓などは致命的になりえます。

長期的な予後


骨折を安定化させても、骨粗鬆症の影響は安定化しません。
骨粗鬆症をそのままに放置しておくと別の椎体が骨折してしまいます。
転倒すれば、背骨ばかりではなく、手首の骨や大腿骨など別の部位の骨折を生じてしまいます。
よって骨粗鬆症の加療をしっかり行い、定期検診を行いましょう。

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手術治療の流れ


持病や内服薬の種類によって術前の入院期間が異なります。
通常は手術の前日に入院です。術後3日〜7日程度の入院期間が目安です。
術後は骨折椎体を保護するために硬性コルセットを約1~2ヵ月程度装着します。

・手術前日   術前の準備
・手術当日   手術 
・術後1日   食事開始 コルセット下にベッド離床開始
・術後2日   リハビリ開始
・術後3日〜7日   自宅退院
・術後2~4週    外来受診

まとめ


脊椎骨折の手術治療のひとつ、
経皮的バルーン椎体後弯矯正術:BKP(balloon kyphoplasty)についてまとめました。

一般的な予定です。個人差があることをご了承ください。