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はじめに


わたしは脊髄造影(ミエログラフィー)は大切な検査のひとつと位置づけております。

①内服加療で思うような改善が得られず、手術を検討する段階になった
②多椎間病変や他院手術症例、後側弯など脊柱変形などがある

①かつ②の場合には積極的にミエログラフィーで精査しています。

それ以外では有用性を十分に考慮する必要があると思います。
不必要な脊髄造影検査は行ないません。

脊髄造影、ミエログラフィー検査について興味ある記事を読みました。
腰椎の診断にミエログラフィーは欠かせない

まったく同感です。
最近の経験を記事にしようと思います。

ミエログラフィーのデメリット


不必要には行わないのは、この検査にはデメリットがあるからです。

残念ながら以下のような合併症が起こりえます。
脊髄造影(ミエログラフィー)を受ける方へ

・造影剤アレルギー
・出血・硬膜外血腫
・感染
・脳髄液減少症
・死亡例報告
など。

よってたいていの施設では一泊二日で行っていることと思います。

死亡事故の報告


ミエログラフィー時の死亡事故が報告されました。

具体的には造影剤の誤薬、誤投与です。
つまり、脊髄用ではない別の造影剤を誤って脊髄に投与してしまったものです。

非常にショッキングなニュースで、どの施設でも造影剤のダブルチェックを行なうようになったことでしょう。
ミエロであれば、脊髄造影用、との記載をダブルチェックしていると思います。

このような事例や、被爆や合併症、検査のために入院が必要などのことを考えると
侵襲的な面が強調されてしまい、検査の頻度は減っているかもしれません。

脊髄造影のメリット


ただし、MRI画像は、あくまで仰向けで寝転んだ姿勢での検査です。
脊髄造影検査では、寝たり、立ったり、いろいろ姿勢を変えて検査を行うことにより、
ある特定の姿勢で神経の圧迫がないかどうかを調べることができるのがメリットです。

MRミエログラフィーという代用検査もありますが、
臥位での検査であることに変わりはありません。

立位で可能なMRIも存在はしますが、
・姿勢の都度撮像するのはMRIの性質上時間が掛かりますし、
・立位MRI用の部屋の設計
・高額な費用
などの制限があり現実問題、導入するのはなかなか困難です。

脊髄造影後CT


MRIでは検査中、体の動きに影響されて、病変を過大評価してしまうことがあります。
また、小さいヘルニアのような病変は逆に描出できないことがあります。

造影剤を注入した状態で細かくCT検査することで詳細な評価が可能なこともメリットといえます。
また、CTであれば気になる所見はサーバー内に保存されている期間であれば、
後からでもさまざまな角度で自由に再構成することが可能です。

症例提示


001
症例は、L2/3の椎間板変性、終板硬化を認める多椎間狭窄病変です。
1/2、2/3の狭窄が一番の悩みどころだな、と思っていました。

4/5の狭窄は中等度です。

間欠性馬尾症がメインで、内服加療でまずまずの経過だったのですが、
右下肢痛の悪化を認めて車いすで来院されたものです。

長趾伸筋が低下しており、判断に迷いました。

ミエログラフィーを行うと、
実際は1/2、2/3の狭窄は大したことなくって、
3/4に中等度狭窄、4/5に右硬膜嚢が欠損する高度狭窄を認めました。
002

4/5の椎間板ヘルニア悪化にともなう脊柱管狭窄症とL5根症であったわけです。

右下肢痛が悪化した際にMRIを再検査する、という方法もありますが、
1/2、2/3の狭窄の評価にはMRIの再検査は役に立ちません。

MRIでL4/5の椎間板病変の悪化であることがわかったとしても
4/5のみ手術するか多椎間除圧するかどうか判断は難しいのではないでしょうか。
003

手術はL3/4とL4/5の除圧+L4/5椎間板切除を行ないました。
実際、L3/4は今回、手術しなくてもよかったかもしれません。
本人、家族の意向を十分話し合った上で行いました。
ミエロ上狭窄が強くない1/2、2/3は今回は見送ることに患者さんの異論はありませんでした。

本日のまとめ


腰椎疾患は荷重がかかることで症状が出現することが多いです。
そして前屈や後屈、側屈などの姿勢での症状の改善、悪化があります。

MRIではそのような姿勢変化を捉えることができません。

よってミエログラフィーは今後も必要な検査だと思います。

そしてこのような方針で診療していると
患者さん自身も自分の経過を非常によく理解してくださいます。





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