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はじめに


経皮的椎弓根スクリュー
PPS; percutaneous pedicle screw)
を使用した最小侵襲脊椎安定術
MISt; Minimally invasive spine stabilization)
は最近、著しく普及しております。

変性疾患のみならず腫瘍・感染・外傷などにも応用されており、
その低侵襲性から今後もますます発展していくことと思います。

あわせて、最近のがん治療の発展もすさまじいものを感じます。
抗癌剤、分子標的薬、放射線療法など、がん治療の進歩です。

がん患者の生命予後は確実に延長してきております

結果、外来診療をしていると、
頚部痛や、背部痛、腰痛などを主訴に来院し、
骨転移を認める患者が増加していると感じています。
それに伴い、
骨関連事象(SRE: skeletal related event)
をいかに抑えるか、
が脊椎科のテーマになります。

骨関連事象(SRE: skeletal related event)とは


SREとは、骨折や麻痺、高カルシウム血症などにより
患者のADLの低下ならびにQOLの低下を引き起こしてしまう有害事象です。

治療薬として、
ビスフォスフォネート(ゾメタ)や、RANCL抗体(ランマーク)
などの発展によりこれまた恩恵がもたらされています。

転移性骨腫瘍の手術の発展


転移性骨腫瘍の手術に関しても発展を遂げています。

以前は、転移、と判定されれば
がんの末期で、余命3ヵ月とか6ヵ月とかでしたが、
治療法の進歩で、条件がそろえばかなりの予後が見込めるようになりました。

手術としては、
・姑息的palliativeなものか
・根治(腫瘍制御)に向かうのか
で選択が異なります。

PalliativeなものであればMIStが効果を発揮できます。
姑息手術としてのMIStは
出血量の減少、輸血の回避、周術期合併症発生率の低減、術後安静期間の短縮
などに有利に働き早期退院を見込みます。

QOLの維持やADLの維持に寄与する手術です。

積極的根治というか腫瘍制御を目指すならば、
TES; total en-block spondylectomyです。

転移椎体をまるごと切除してしまうのです。

しかし、これは相当な技術が必要であることと
全科のバックアップや集中治療の充実が必要です。

本日のまとめ


わたしにはTESの技術はありません。
がん拠点病院の中などに脊椎センターとしてある程度の地域で可能になることを望んでいます。

わたしにいま求められることとしては、
・整形外科を受診した頚部痛や腰部痛、背部痛などで
原発不明癌であれば、早期に診断し、該当の診療科に引き継ぐ
・既知の腫瘍の転移が判明した際に、
根治を目指せるのか、姑息的な加療が必要なのか、
の判断を行う
・姑息的な加療であればMIStや骨修飾薬などを駆使して
SREを減らし患者のADL、QOLの維持に寄与したい
といったところです。

ということで、原発不明癌の早期診断のために
侵襲を少なく、要領よく、系統だてて検査していくための
ストラテジーをまとめた口演用のスライドを一枚。

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第3版が出版されています!!(管理人が所持しているのは第2版) さらに病態、画像など、非常に詳しく!!脊髄脊椎が網羅されておすすめです。