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はじめに


化膿性椎体椎間板炎や腸腰筋膿瘍などの感染性疾患は
脊椎領域のみならず、感染症例はどんどん増加していることと思います。

医療の発展による高齢化易感染性宿主の増加がおもな理由として挙げられます。

化膿性椎体椎間板炎においては、
・感受性のある適切な抗菌薬投与
・局所の安静
が加療の軸です。

感受性を確かめるためには敵の正体を暴くのが大切です。
血液培養、局所の培養を駆使して、相手を同定するわけです。

起炎菌が検出され、抗菌薬の治療が功を奏した時、
ふと疑問が生じるわけです。

いったいいつまで抗菌薬を継続したらいいの??

ケアネットにひとつの回答がありました。

非常に参考になります!

再発リスクについては抗菌薬の延長を考える


・2015年に成人の化膿性椎体炎の治療期間について、ランドマーク的なランダム化比較試験(RCT)がBernard氏らによって発表されました。オープンラベル、非劣性RCTですが、6週間治療は12週間治療にプライマリーアウトカム、セカンダリーアウトカムすべて非劣性という結果でした。
これを受けて2015年の米国感染症学会の化膿性椎体炎のガイドラインでは治療期間の推奨は軒並み6週間になっています(ブルセラによるものを除く)。
・ただ、6週間では不安が残るケースも実際には経験します。一律に6週間でいいのだろうか? という目でみると、Bernard氏らの報告では黄色ブドウ球菌のうちMRSAは145例中8例のみでした。フランスで行われた多施設研究ですが、MRSAの多い地域で同じ結果になるだろうか? という疑問が残ります。
実際、Bernard氏らの研究でも黄色ブドウ球菌が原因菌であることは治療失敗のリスク因子として同定されています。

・2016年に発表された韓国の多施設過去起点コホート研究によると、314症例中31例で再発があり、椎体炎再発のリスクは以下の3つでした。
①末期腎不全(ESRD)(調整オッズ比:6.58、95%CI:1.63~26.54、p=0.008)
②MRSA感染症(調整オッズ比:2.61、95%CI:1.16~5.87、p=0.02)
③ドレナージしていない傍脊柱膿瘍/腸腰筋膿瘍(調整オッズ比:4.09、95%CI: 1.82~9.19、p=0.001)
これら3つをリスク因子にして
リスク因子すべてなし→低リスク
3つのリスク因子のうちどれか1つあり→高リスク
と分けた場合、高リスク群では6~8週間の治療でも約3割の再発があったということで、高リスク群では8週間以上治療したほうがよいかもしれません。


よって、
・一般的には6週間が目安。
・ドレナージ不良の膿瘍がある場合やMRSAが原因の場合、末期腎不全がある場合では延長を考慮する。
ということでしょうか。

適切に鎮静されても腰痛の訴えがある


さらに、
どうみても感染は沈静化されているのに腰が痛いとの愁訴が続く、、、

よくありますよね。

・Bernard氏らの研究でもう1つ興味深い点は、6週間治療群、12週間治療群ともに1年後も腰痛を訴えた人が30%いたということです。椎体炎治療の指標として腰痛は大切なパラメーターの1つですが、治療自体はうまくいっていそうなのに、腰痛が残る人は一定数います。痛みだけを理由に抗菌薬投与を延ばすときりがなくなることがあります。画像的に悪化がなく、血液検査での炎症反応が落ち着いていれば6~8週間(高リスクの場合は適宜延長を考慮)で抗菌薬を終了し、腰痛が残るようであれば慢性疼痛として管理をするのがよさそうです。


まさに、ですね。
痛みだけを理由にしてしまうと、延々と抗菌薬を処方しないといけなくなる、ということですね。
先日、ある研究会で、そのように1年半近く投与している施設の発表を伺って、
正直、「う〜ん、ほんとうに感染が継続しているのか?」と思った次第です。

参考文献
1) Bernard L, et al. Lancet. 2015;385:875-882.
2) Berbari EF, et al. Clin Infect Dis. 2015;61:e26-46.
3) Park KH, et al. Clin Infect Dis. 2016;62:1262-1269.

本日のまとめ


化膿性椎体椎間板炎についての悩みは絶えません。
初期診断も難しいし、
ドレナージのタイミングや根治的治療のアプローチ、
抗菌薬の投与期間など、、、

多岐に渡ってディスカッションがなされております。

宿主 vs 寄生体?共生?

戦いは未来永劫に続くのでしょうね。






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