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はじめに


診療を通じて、毎日毎日実感しております。

なんと骨粗鬆症性椎体骨折の多いことか!

骨粗鬆症患者は1300万人を超えているとされております。
よって10人に1人くらいは骨粗鬆症状態にあるという計算になります。

骨折は、椎体骨折が最も多く、ほか、大腿骨近位部骨折や橈骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折が代表的な骨粗鬆症性による骨折部位です。

脊椎専門外来をしていると、一日に1人~2人くらい新規で椎体骨折を起こして来院されます。

ところが、たいていが初回骨折ではなく、既存骨折を認めます。
あるいは橈骨や大腿骨に骨折の既往があるのです。

どうして骨粗鬆症の治療をしていないの・・・
あるいは
どうして治療を途中でやめちゃったの・・・

そんな場面が非常に多く感じられます。

これは医療者側に問題があると思わざるを得ないのです。
常々感じているのは、医師の診療のみでは十分な骨粗鬆症治療が行き届かないこと。

そのひとつの改善策として、骨粗鬆症リエゾンサービスがあります。



リエゾンサービスとは


わたしがはじめてリエゾンという単語を知ったのは精神科の講義でした。

リエゾンとはフランス語で「連携」や「連絡」意味する言葉です。

一人の患者さんに一人の主治医がつくのではなく
同種、多種問わず、多くの職種が互いに連携を取り合い、包括的に患者さんにアプローチする医療
と理解しております。

そしてマネージャーは診療におけるコーディネーターの役割を果たします。

精神科リエゾンサービスのみならず
わたしたちの領域では転移性骨腫瘍に対するリエゾンサービスの活動の有効性も
多く報告されております。

骨粗鬆症リエゾンサービスがめざすところ


骨粗鬆症のアプローチには、骨折の一次予防と二次予防があります。
病院では基本的にはすでに脆弱性骨折をおこした患者さんに接することが多いので
再骨折をきたさないようにアプローチしていく事が多いです。

すなわち、
・最初の骨折への対応
・骨折リスク評価
・新たな骨折の防止
などのアプローチしていきます。

ただ、骨折した患者さんを診察すると、皆さん、どうでしょうか。

後弯変形をおこしてなんとか立つのがやっと・・・
全体的に痩せていて筋力が乏しく、歩行もおぼつかない状態・・・

いかにも転倒しそうな体型になってしまっているのです。

このような患者さんに対して
骨粗鬆症治療薬の継続だけでよいのでしょうか?
アドヒアランスの向上はもちろんもっとも大切なことなんでしょうが、

・食事療法による栄養状態の改善
・個々の体力に応じた運動療法による筋力の増加、転倒リスクの軽減
・デイサービスや地域の活動の参加のマネージメント
・個人、家族の環境に沿った適切な介護サービスの調整

このようなアプローチが絶対に必要になってきます。
こられは医師ひとりでは限界があると思うのです。

看護師、薬剤師、理学療法士、栄養管理士、メディカルソーシャルワーカー、ケアマネージャーなどの総合的なチーム力が必要で、それぞれが連携をとりながら治療を行っていく必要があるだろう、と

これこそが骨粗鬆症リエゾンサービスが目指すところです。

本日のまとめ


もやもやそんなことを考えながら診療していたら
鶴上浩先生の講演を拝聴する機会を得ました。

鶴上先生は骨粗鬆症学会の評議員でリエゾンサービスWGのお一人です。
わかる!できる!骨粗鬆症リエゾンサービス―骨粗鬆症マネージャー実践ガイドブックの執筆もなさっています。

診療所での骨粗鬆症リエゾンサービスについてのご講演を賜りました。

わたしもこの流れにのってチーム医療を目指そうと思いました。
まず外来看護師長さん、薬局長に相談して有志を募ることと致しました。

骨粗鬆症リエゾンサービスの立ち上げ、活動の様子も適宜記事にしていきたいと思います。

骨粗鬆症マネージャーをめざそう!

資格へ条件は
日本骨粗鬆症学会のホームページ
リエゾンサービス
骨粗鬆症マネージャー制度
にあります。

おまけ・資格への条件


簡単にまとめると、
・日本骨粗鬆症学会会員に入会
・日本骨粗鬆症学会学術集会に参加
・国家資格を持っている
1)保健師、2)助産師、3)看護師、4)診療放射線技師、5)臨床検査技師、
6)理学療法士、7)作業療法士、8)臨床工学技士、9)言語聴覚士、
10)薬剤師、11)管理栄養士、12)社会福祉士、13)介護福祉士その他医療に関する国家資格を有するメディカルスタッフ
・過去3年以内に骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースを1回以上受講

の上に、
・認定試験に合格する
・90分の試験
1)出題数
マークシート形式により55問(一般問題45問+臨床問題10問)を予定
2)出題範囲
骨粗鬆症マネージャーレクチャーコースの講義内容
・骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015 [ライフサイエンス出版(株)]
3)問題形式
五択のうち単純択一形式(設問に対して挙げられている選択肢の中で、解答としてもっとも適しているものを1つ選ぶ)

骨粗鬆症学会に入会すると練習問題は58問を参照できます。
5問が見本問題としてHPで公開されています。
練習問題
です。

ご参照ください!!