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はじめに


脊椎破裂骨折の評価の一つに
LSC; load sharing classification
というものがあります。

①椎体の粉砕の程度 <30% 30-60% >60%
②骨片の転位の程度 <50% >50%
③後彎変形の変化の程度 ≦3° 4-9° ≧10°

で評価し、7点以上で椎体圧潰がかなり高度と判断し、
前方支柱再建が望ましいとするものです。

最近は手術のデバイスの進化により後方法単独で、破裂骨折の加療がトライされ始めています。

さらに経皮的椎弓根スクリューの進化により、低侵襲手術でも可能になりつつあります。

前方アプローチを否定するものではありません。
むしろ前方法について学ぶことは必須であることは強調しておきます。

進化するMISt


わたしは可能ならば、なるべく低侵襲法での治療を目指しています。
MISt; minimally invasive spinal stabilization

低侵襲法の代表である経皮的椎弓根スクリューmulti axial screwであるために
圧潰を矯正しようとエクステンダーにdistraction forceを加えたり
前弯をつくろうとcompression forceを加えても
首振りの遊びのため力が十分働きませんでした。

よって整復矯正が困難でした。

後方アプローチによる破裂椎体矯正手術の代表格は
DePuy SynthesのSchanz screwであります。
USS fracture systemです。

スクリューはmono-axialで、長い一本の槍のようなスクリューを椎体に刺入し、
ロッド長を長く調整することで開大し、柄の部分にcompressionをかけることで前弯形成します。

創外固定を、いわゆる従来のオープン法の創内で行うようなイメージです。

デバイスが進化してこの仕組を経皮的に使用することができるようになりました。
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メドトロニックのSAS; sagittal adjusting screwにTIS; trauma instrument setを用います。

スクリュー自体はmono-axialであり、
エクステンダーと連結しても、まさに一本の槍そのもので動きません。

ロッドと締結する接着部分がスライドサドルという構造で13度の自由度をもってスライドします。

よって矯正整復した後にロッドを締結することで至適な状態を保つことができるのです。

002


いま9ヵ月目ですが、骨片がligamentotaxisにより整復されリモデリングされております。

まだ椎体終板の損傷がけっこう残っており、
もうしばらく修復の経過を判断して抜釘を行う予定でおります。

初期は後方の間接除圧が不十分の場合には前方手術を追加する予定で
椎体内にマテリアルは入れておりませんでした。

最近は後方MIStでも整復可能と考え、椎体内にβ-TCPなどで椎体形成を行っています。

本日のまとめ


先にも述べましたが前方アプローチを否定するものではありません。
むしろCadaverや手術見学などで積極的にトレーニングを行ない、習得すべきです。
絶対に必要ですから。

ただ後方MIStの適応もますます広がっており、
このような圧潰が高度の破裂骨折に対しても後方MIStが選択可能になりつつあります。

★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。