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はじめに


軸椎(C2椎体)骨折は全頸椎損傷で5%程度の頻度とされます。
そのうちハングマン骨折は約20%で、C2骨折で2番めに多い頻度とされております。

絞首刑受刑者の骨折にちなんで名付けられたそうです・・・
(Schneiderら Journal of Neurosurgery 60, 1965)

病態は
a bilateral isthmus fracture of the axis、
つまり軸椎の両側の関節突起間骨折で、
the traumatic spondylolisthesis of the axis、
外傷性の軸椎分離すべり症を起こします。

ハングマン骨折の分類の注意点


Levine-Edwards分類が広く使われておりますが、
同じ軸椎骨折でも歯突起骨折のAnderson分類のように骨性の要素メインで判断してはいけません。
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外傷性分離による軸椎すべり症が本態となるために
angulationとtranslationの評価のためには
・C2/3の椎間板損傷の有無
・前縦靭帯、後縦靭帯損傷の有無
・後方軟部支持組織の損傷の有無
が重要なのです。

つまり軟部組織の支持の評価が重要なので、
CTのみはなくMRIでの評価が必須となります。
MRIの所見をもとに不安定性の程度を評価するのです。
慎重な動態撮影でさらに評価が可能です。

transpedicular screw fixationについて


基本的にはLevine Ⅰは保存加療、Ⅱは保存か手術、Ⅱa、Ⅲは手術になります。

手術方法のうち、transpedicular screw fixationという方法があります。

固定椎間をつくらず、あくまで骨折部位のみの固定なので
理想的ではあります。
Direct screw osteosynthesis とも表記されます。

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先に述べたとおりハングマン骨折の分類には
軟部支持組織の不安定性の評価が重要です。

transpedicular screw fixationで手術した場合、
不安定性が強い症例は経過で転位を起こしてしまうので
注意が必要です。

これは痛恨の症例です。
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骨折は癒合せしめることができましたが、転位しております。

しっかりとした不安定性の評価のもとに選択される手術であること
十分に認識しておく必要があると思います。

適応は、
type I injuries or maybe type II
とされます。

本日のまとめ


ハングマン骨折にはMRIによる軟部支持組織の評価が必須です。

Direct screw osteosynthesis、transpedicular screw fixationは
理屈の上では理想的です。
しかし不安定性が強い場合では、転位をきたしてしまうので
要注意です。

ハングマン骨折の保存加療の方法としては、ハローベスト装着がありますが、
ハローベストの合併症は決して低くはありませんし、本人の辛さも甚大です。

よって自分としては、全身状態が許容されて、骨折の形態が固定可能ならば
積極的に内固定を行い、早期離床を目指すのがよいと思っています。

ただし病態の評価が最重要課題です。

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