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はじめに


頭蓋頚椎移行部は発生学的にanomalyの多い部位です。
よって手術でアプローチする場合には
術前に必ず血管の走行や骨構造について、しっかりと評価しておく必要があります。

先日ハングマン骨折で後方C2-3固定をするときに
anomalyがあって術前評価の重要性を再認識したことを記事にしました。
これだから椎骨動脈は評価しておかないと・・・

しかしそのanomalyがどのように分類されるのか、なかなか調べきれずにいたところ
「これはponticulus posticus on the posterior arch of the atlasですね」
とコメントでご指導いただきました。

非常に嬉しかったです。
ありがとうございました。

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御蔭でまとまっている文献にもたどり着くことができました。

posterior ponticulusの分類


文献は、
Hong et al:
Analysis of anatomical variations of bone and vascular structures around the posterior atlantal arch using threedimensional computed tomography angiography
JNS Spine 8:230-236, 2008.
です。

3DCTAを施行したKorean1013人の検討です。

15.6%にposterior ponticulusを認めています。

Posterior ponticulusは、ponticulus:橋の解剖学的な形態によって
4つに分類
されております。

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Type I (14.0%)
a partial posterior ponticulus is noted as a bony spicule extending only from the superior articular facet

Type II (9.6%)
a partial posterior ponticulus in which a bony spicule projects from the posterior arch of the atlas toward the superior articular facet

Type III (34.6%)
a bony spicule of a partial posterior ponticulus originates both from the superior articular facet and the posterior arch

Type IV (41.7%)
a complete posterior ponticulus

わたしの症例はType Ⅳで、最も多いタイプですね。
70代後半の方です。

Type Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの、Imcomplete posterior ponticulusのグループが平均55.7歳であったのに対して
完全型のposterior ponticulusのグループが57.6歳であったそうです。

よって、経年的に骨棘が形成されて完全型に移行していくのではないかと示唆されております。

ほか、VAのV3 segmentの走行についてもよくまとめてありました。
これも改めて記事に致します。

本日のまとめ


cranio-cervical junctionの手術では
骨構造やVAの走行に多くのvariationが存在します。

よってCT、MRIで単純に評価すると大事故につながりかねません。

3DCTAで十分に評価して手術に臨む必要があります。

ブログを通じて勉強になるコメントをいただき、本当にありがたいです。
誠に有難うございます。
今後もささいなことでも自分の疑問や気付きを記事にしていきたいと思います。

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