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場末の病院で診療をしていると
「わたしの専門は脊椎診療ですから他科を受診してください」
などといえない状況が多々あります。

というのも、場末の病院ですので、予約なしの飛び込みの初診ばかりです。
いわゆる診断がついての紹介患者さんはほぼおりません。

まず受付で簡単な問診表を記載します。
それを誰が振り分けているのか、よくわかりませんが、
体幹の症状や四肢の症状はたいがいわたしの外来を初診されます。

それがとっても怖いんですよね。。。

五感をフルに働かせて、背骨の外のことを考えながら診察しないと、、、

怖いことが多々あります。

頚部痛では椎骨脳底動脈解離
腰痛では尿管結石や大動脈解離
ほかにもパンコースト腫瘍だったり、骨盤のメタだったり、、、
麻痺で脳皮質下梗塞や慢性硬膜下血腫
などをこれまで経験致しました。

ほんとうに怖いです。

今回も初めての経験です。

便利なエーザイの症状シートに痛みの赤線が網目状にひかれて
「左後頚部痛、肩甲背部下部の痛み」
とあります。

しびれはありません。

30代前半の女性です。
知り合いの皮膚科ドクターに頸椎を診てもらうようにいわれた、とのことでした。

症候は確かに下位頸椎のradiculopathyでもおかしくはないです。

実際に診察してみると頚部を動かしても、左肩を動かしても痛みの誘発や増悪はありません。
ほかの理学所見、神経所見に有意なものはありません。

本人は深呼吸すると痛いのだとか。

たしかに深呼吸を促すと、痛いといいます。

???
聴診してみようかな??
と思いましたが、頸をみてほしい、と言ってきた若い女性に対して
「整形外科診療室で胸を聴診された」
と言われたら困るな、という保守的な気持ちも走ってしまいました。
なによりわたしの診察室には聴診器はおいてないし。。。

「CTで頸椎を調べる延長で胸まで調べてもいいですか?」

というのが関の山でした。

しかし驚きました。

001


肺炎があります。
胸膜まで炎症が波及していそうです。

熱発や咳の症状は後から聴取することができました(涙)。

初診ってつくづく怖いなあ、と思いました。

手術は一緒に指導を受けながら遂行することができますが、
外来では、診療室にたった一人です。

異常のない患者さんに、「頸椎は異常はありませんよ」と言うのは簡単です。
しかし病状を見つけるのは本当に難しいと思いました。

★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。