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はじめに


脊椎診療科も当然、高齢化の波が押し寄せております。

わたしの独断と偏見で言わせていただくと、
高齢者にとって悩ましい日常の症状はこの3つではないでしょうか?

ズバリ
①不眠
②めまい
③便秘

この3つはどんな投薬を試みてもなかなかご満足いただけません。

難しい。。。

医局で精神科の先生に睡眠薬の使い方についてお尋ねしたら
コツを非常に丁寧に丁寧にお教え頂きました。

実践するしないは別として(すみません!)
とても勉強になりましたので記事に致します。

睡眠障害の型によって使い分ける


・その方がどんな睡眠障害があるのか、丁寧に問診することが大切
・睡眠障害の型によって眠剤の使い分けをする。

具体的には
1.入眠困難・・・超短時間型、短時間型
2.中途覚醒・・・短時間型、中間型
3.早朝覚醒・・・中間型、長時間型
4.熟眠感のなさ・・・訴えの内容による眠剤の選択、場合により少量の抗精神病薬を併用する
という具合です。

・超短時間型はハルシオン(トリアゾラム)、マイスリー
・短時間型はデパス(エチゾラム)、レンドルミン(ブロチゾラム)、ルネスタ
・中間型はサイレース(フルニトラゼパム)
・長時間型はクアゼパム(ドラール)、フルラゼパム(ダルメート、ベノジール)
などでしょうか。

半減期は
超短時間型は2〜4時間程度、
短時間型は6〜12時間程度、
中間型は12〜24時間程度、
長時間型は24時間以上
とされます。

6時間を超えてくるとわたしたちにはちょっと使いづらいですよね。。。

年齢を考慮


やっぱり高齢者にとって一番の問題は
薬剤性の夜間せん妄ですよね。

高齢者は上記Minorで薬剤性の夜間せん妄をおこす可能性が高いそうです。

薬剤性せん妄を回避する目的で、Minorをさらに多量に使用すると、
翌日まで作用が持続し転倒事故などが起こりやすくなって
かえって逆効果
だそうです。

このようなことを回避するためには
夕食後にMajor(抗精神病薬)を少量使用することでMinorの量を減らす
ことがよいようです。

実践できるかどうかは別として(汗)

例えば
リスパダール0.5~1mg 1✕夕食後、フルニトラゼパム1mg 1✕就眠前
ハロペリドール1mg アキリデン1mg 1✕夕食後、フルニトラゼパム1mg 1✕就眠前
チアプリド25mg 1✕夕食後、フルニトラゼパム1mg 1✕就眠前
ウィンタミン25mg 1✕夕食後、フルニトラゼパム1mg 1✕就眠前
というように処方するそうです。

高齢者にはちょっと、、、どうでしょうか??(汗)

ほか、薬剤性のせん妄を起こしやすい人


・身体疾患
・精神状態(不安・緊張・興奮の強い人、脳梗塞、脳出血、有機溶剤の使用歴、認知症、精神発達遅滞、人格障害など)
などの患者さんはMinorで薬剤性せん妄を非常に起こしやすいそうです。
よって上記のようなMajorの使用を考慮するとのこと。

高齢者の不眠からだいぶ離れてきたような感じが、、、

長期使用の依存形成に注意


あとはいわずもがな、ですけれども、
長期使用の依存形成についてしっかり考慮しておきましょう、と。

Minorは比較的、身体的薬物依存・耐性を形成しにくいそうですが、
長期にわたって使用することは避けましょう、とのことです。

そのために、超短時間型、短時間型から中長期型へ薬剤を変更する

最後に、
非常に不安、緊張が強いときは「眠剤の調整」という説明で精神科受診をすすめてください
とのことでした。

さすが精神科の先生だなあ、と思いました。
最後の一言が一番助かりますね!!

本日のまとめ


高齢者の患者さんに満足していただくために
眠剤の使い分けについて教えていただきましたが
正直ハードルが高いな、と思いました。

精神科の先生は非常に問診を大切にされます。
見習うことが多いと考えさせられました。