KyphonとKMCのバルーン比較。拡張サイズに微妙に差がありますよ!
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はじめに
骨粗鬆症性椎体骨折の治療の一つに
BKP; balloon kyphoplasty
というものがあります。
メドトロニック社製のKyphonというシステムを用いて行う手技です。
この手技にセンチュリーメディカルが第二のBKPとして真っ向勝負を挑んでおります。
KMC Kyphoplasty Systemという名前です。
過去記事「KMC Kyphoplasty SystemはBKPにあいのりできるのか?」
手技は瓜二つ。違いはどこに?
わたしもちょっとした講習をうけてKMCの使用が可能となっています。
ただ、まだ未経験です。
KMCを使用した先生に話を伺うと
「セメントが固まり始める時間が数分遅いが、
固まるまでのワーキングタイムはほとんど一緒」
との事で、セメントの挙動はKyphonと違いはあまりないようです。
しかし、調べてみるとバルーンの拡張には若干サイズに違いがあるようです。
拡張した際のサイズの変化
もともとわたしは15mmのバルーンを好んで使用しておりました。
しかし15mmのバルーンを用いているのに、
術後CTをみると結構椎体の後壁側までPMMAが迫ってきていることに気が付きました。
不安に感じるようになったため、
10mmのバルーンサイズを用いるようになりました。
どうしてかな、、、と疑問に思っていましたら、
15mmのバルーンを4mlで最大拡張させると、
前後径は19.7mmとなることを最近になって教えて頂きました(汗)。
しっかりパンフレットに掲載されているそうです(汗)。
基本事項なのですね。
BKPを行うようになってもう7年近くなりますが、
失念したのか最初からわかっていなかったのか。
後者でしょうね。
ちょっと恥ずかしい出来事でした。
どおりで術後CTでPMMAが使用サイズより前後に長く充填されているわけです。
ということで、KyphonとKMCを比較してみました。
KyphonとKMCのバルーンサイズの比較
表に示します。
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↑追記↑
20mmのバルーンの拡張容量は6mlです。
すみません。
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拡張したバルーンの外径は、センチュリーもメドトロニックでもほとんど変わりません。
しかし!
前後径はなんとKMCのほうがだいぶ大きいのですね!
これは、おそらく術後CTで得られる画像は、
Kyphon15mmを使用する感覚とKMC10mmを使用する感覚がほぼ等しいということでしょうか?
KMC15mmに至っては、前後径が20mmを超えています!
すこし不安になりますね。
本日のまとめ
わたしは、まだKMCでの椎体形成は未経験ですが、
このバルーンの拡張サイズの違いの表を見ると、
BKPと全く同じ、瓜二つ、という感覚でバルーンサイズを選択すると
もしかしたら痛い目に合いそうです。
KyphonからKMCに移行する時はバルーン前後径の長さに注意を払ったほうがよさそうです。
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追記
VBSの拡張前バルーンの前後径を追記しました。
VBSは拡張前が長く、拡張しながら短くなっていくのが特徴です。
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★★★
MIStに関わろうとしている脊椎外科医へ。手技に関する待望のバイブルが完成です。
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コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。!!の数の多さに反響がうかがい知れます(笑)
45%の漏出は多いですね。驚きました。PMMAもKyphonとはベツモノとして考えておいたほうがよさそうですね。CMIは、本社まで行かれるのですか?またなにか情報いただけましたらご教示ください。
私は、すでに11例使用したにもかかわらず知りませんでした汗
私も15mm愛用しておりますが、幸い、でかすぎて困ったことはありません。
困るとしたら、ニードルを立て気味に刺入した場合は長くとれませんので後方がギリギリになるかもしれません。やはり基本に忠実に外めから正中に向けて刺入し、バルーン拡張時に左右のバルーンが面で接するようにすれば15mmでまったく問題ないと思います。
あとはわずか11例の経験で申し訳ありませんが、椎体外漏出の頻度が、同時期に行ったKyphon11例と比較して45%vs9%でした。椎間板、ALL内、外側の漏出でしたので後方は大丈夫でしたが、かんがえられるのは、たまたま椎体損傷が高度だったか、セメントの重合不全による硬化までの粘稠度のムラといったところです。実際固まるまでの指での確認でもセメントの糸を引く感じがベチャーっとしたかんじでKyphonとは全然違います。その点では均一に重合されるであろうKyphonの方が安心かと思います。
来週CMIでそのあたりの講演をしてきますので、メーカーの方とdiscussionして、その結果をコッソリおしらせします。