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はじめに


結晶誘発性関節炎なるものがございます。
・痛風(gout)
・ピロリン酸カルシウム結晶(CPPD: calcium pyrophopate dihydrate crystal deposition disease)
・ハイドロキシアパタイト結晶(HADD; hydroxyapatite crystal deposition disease)
などです。

脊椎では、しょっちゅう出会うものではありませんが、
まれに石灰化病変が大きくなって脊髄の圧迫症状を発症し、外科的治療を要することがあります。

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通常、脊髄障害は緩徐発症で、急激な発症はあまり報告されてはおりません、、、

硬膜外膿瘍かと思った


発熱と激烈な頚部痛が主訴で、髄膜炎の疑いで神経内科入院となり、
その後急激に四肢麻痺を呈したため当科紹介となりました。

炎症反応が強陽性で、臨床経過でも術中所見でも硬膜外膿瘍と思いました。

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ただ術前のCTで同部位の黄色靭帯に石灰化を認めたため、
培養のみならず病理にも提出したところ
診断がピロリン酸カルシウム結晶ということで、
本当に驚きました。

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急激な頸髄障害発症のCPPD沈着症


正直、こんな急激な頚髄障害発症ってあるの??
という感じでした。

有名なCrown dens syndromeのように
急激な頚部痛発症ということはあっても、
脊髄症は圧迫病変による緩徐進行の様式という理解でした。

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本日のまとめ


硬膜外膿瘍は脊椎診療科における数少ない救急疾患です。
脊髄症を発症している場合は全身状態が合併症にもよるところはありますが
緊急での除圧、ドレナージを行うことが鉄則だと思います。

まさかCPPDだとは、、、

たしかに、炎症反応は、抗菌薬は追加投与せずにNSAIDsのみで改善しました。

脊椎診療は、本当に奥深いです。

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