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はじめに


間欠性跛行は脊椎診療科を受診する症状のうち、高頻度のひとつです。

まずは腰部脊柱管狭窄症を鑑別にあげます。

実際に画像で腰椎病変を認めれば、難なく診断できて治療開始、と思われがちです。
ところが、腰椎病変のみでない場合も少なからずあるため、注意が必要です。

相談症例


ということで、ここ2,3年で、他院✕2で腰椎手術を2回受けた患者さんが当科を受診されました。

2回も腰の手術をしたのに左下肢痛による間欠性跛行の改善が乏しい、むしろ悪化している、ということです。

このようにわざわざ異なる医療機関を受診してくる場合、
患者側の要素ももちろん気になりますが、
前医での信頼関係が破綻していることもあるので
対応には十分注意しないといけません。

画像をみると、術後の脊柱管再狭窄はありません。
ただ、1回目、2回めの術前後の画像がないので断言はできないのですが、
もともと手術適応になるほどの高度狭窄だったのかどうか、、、

しかし患者さんは左下肢痛による間欠性跛行の増悪を認めて
最近は安静時にも痛いときもある、、、と、、、

安静時??の言葉に記憶が思い出されました。

慢性下肢虚血の重症度分類


以前、腰痛を伴う血管原生の間欠性跛行の症例の記事を記載しました。

その記事を整形外科医のブログ先生にとりあげていただき、
ええっ、ASOで腰痛があるの?!

末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン2009年
なるものが公開されていることをご教示いただきました。

ありがとうございました!

それでガイドライン、ナナメ読みしたときに
慢性下肢虚血の臨症状の重症度分類として
Fontaine分類
が用いられる

というものが記憶に残っていました。

Fontaine分類
I度:無症状もしくは冷感やしびれ感
II度:間歇性跛行
III度:安静時の疼痛
IV度:潰瘍や壊死

虚血の進展過程に応じた病態の重症度を表現するものとして広く用いられているそうです。

大塚製薬のHpに詳しいです

通常、馬尾症に代表される神経原性間欠性跛行は安静時には改善するので
安静時痛と言われるとこれは腰椎由来の症状なのかな?と疑問に思ってしまいます。

虚血はこのFontaine分類にあるように、重症化すると安静時痛を伴ってきます。

ということで、安静時も痛いというので血管原生の疼痛を考慮しました。
膝窩動脈が触知されません。
ABIを測定すると低値でした。

Fontaine分類Ⅲ度になるのでしょう。

IMG_5106


心血管外科医にコンサルトした結果、バイパスを視野にいれて診療にあたる、とのコメントでした。

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末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドラインより抜粋

本日のまとめ


末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドラインには
ASO の外来患者の 約 7 割を占める間歇性跛行の診断に際しては,
患者背景がオーバーラップする脊柱管狭窄症や腰椎疾患等による神経性跛行との鑑別が重要である
.
と明記されております。

鑑別ももちろん重要ですが、
この症例のように腰部脊柱管狭窄との合併
にも十分に気を配らないといけないですね。

この患者さんは主治医からは、除圧は良好、と言われていたそうです。

除圧が十分なのに症状の改善がいまいちならば、
自分の治療は完璧だ、ということを患者さんに押し付けてしまうといけないな、、、

神経原性間欠性跛行と血管原生間欠性跛行の合併には十分注意しようと感じました。

★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。