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はじめに


脊椎診療科の医師は、繰り返す脆弱性椎体骨折と戦うために、かねてから骨粗鬆症加療に関心が高いと思います。

積極的に採血で評価し、積極的に薬物加療を行っているでしょう。

ただし、他科の医師や時には患者さんに至っても、高血圧や糖尿病、脳梗塞、狭心症などと比較すると、骨粗鬆症加療には意識が乏しく、なんとなくやめるなら骨粗鬆症の薬から、みたいになってドロップアウトしてしまうことが多いのが問題ではないでしょうか。

外来で指導するにあたって、患者さんに治療の理解を得るためには、自分自身もより多くのことを学び、情熱を注いで指導しなければいけませんよね。

本日はビタミンDについてのトリビアです。

Q.ビタミンDって何を食べれば効率よく摂取できるの?



A.
わたしは医師だから、わかりません。栄養士さんと相談してみてください。
2015年度版の日本食品標準成分表によれば代表的な食材は下記の感じです。
干したキクラゲ干ししいたけとか魚類によく含まれています。

注意しないといけないのは生しいたけはダメです。
日光に干して乾いていないとダメ。


001


さて、この知識だけで、効率よく摂取できるでしょうか??

Q.わたしは牛乳や小魚をたくさん摂っているから大丈夫ですよね?


A.
わかんないです。でも自分で頑張っていれば、大丈夫大丈夫!!
日本食品標準成分表2015年度版で推奨される一日摂取量は
5.5μg/日
です。

この表で考えると、
干ししいたけだと、、、、
50g
で良いのです!!

って、どのくらいの量なのか、わかりますか?

インターネットってすごいです。
“干ししいたけ 分量”
で検索すると、きちんと出てくるんですから(笑)・・・

干ししいたけ、大 5個、可食部で23gと!!
002

ということは少なくとも大10個以上1日に摂取しないといけない、ということです。

・・・って食えるか。。。

牛乳に至ってみれば、0.3μg/100gなので、2リットル飲んでようやく6μgですね。

・・・って飲めるか。。。

さらに年齢を重ねることでカルシウムの吸収能力は低下していくので、これ以上摂取せねばなりません。
高齢者にこのような食生活を指導(強要?)して行くのはやはり、無理というものです。

A. 内服で補っていくのが良策だと思います。


ということで、やっぱり内服で補っていくのが良策だと思います。

ところで、
なぜ、植物性食品と動物性食品で分けているのでしょうか。

それには理由があります。

ビタミンDは、
・ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール)
・ビタミンD3 (コレカルシフェロール)
の総称です。

紫外線(UVBです)の照射によって、
・ビタミンD2は植物に存在するエルゴステロールから生成され
・ビタミンD3は動物(主に魚です)に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から
生成されるのです。

窓でUVカットされた部屋での日光浴は無意味ですよ!!

紫外線についての詳細はまた別にまとめます。

栄養学での推奨摂取量は低すぎるのでは?


ただし、この摂取推奨量、5.5μg /日なんですが、
骨粗鬆症学会的には、
低すぎる!!20μg /日くらい必要!!
としています。

ですので、食事で摂取していくのはさらに困難であることが理解できると思います。

μgで示されることが多いと思いますが、IU(国際単位;international unit)で表されることがあります。
5μgが200IUに当たります。

ちなみに採血でVitDの不足・欠乏を測定できるようになりました。

実際、脆弱性椎体骨折の患者さんを測定してみると、ほぼほぼ充足しておりません。
というか充足している患者さんを見たことがありません。
やっぱり日本人(言い過ぎ?骨折患者?)はビタミンDが不足しているのです!!

測定項目は25(OH)Dです


オーダリングのアップデートが済んでいないと、うっかり
1,25-(OH)2D
を測定してしまうかもしれません。

違います。
25(OH)D
を測定するようにしましょう。

というのは、
1,25-(OH)2D
は活性型ビタミンDで、体内では腎臓で厳密に一定に保とうとしているので、真に不足、欠乏かどうかはわからないのです。

一方、
25(OH)D
は肝臓で最初に代謝された貯蔵型なので、欠乏しているかどうかの判定ができます。

この辺りもまた別記事で詳細にまとめようと思っています。

ちなみにちなみに保険診療名は、“骨粗鬆症”ではいけません。
ビタミンD欠乏性くる病、とかビタミンD欠乏性骨軟化症です。

成人なので、
ビタミンD欠乏性骨軟化症
を用いましょう。

本日のまとめ


ビタミンD・・・
知れば知るほどトリビアが多すぎる、、、

記事は続く・・・(たぶん)