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はじめに


先日、友人から神経根ブロックについての問い合わせがありました。

「うまくルートブロックするためのコツを教えてくれないか」
ということでした。

針がきちんとと神経根目指して進んでいるかがわからない、ということが心配なんですよね。

メルクマールがAP像の情報しかない、というのが心配の決定的な要素だと思います。

形容しがたい侵襲的な手技になることもある


深さ、というとても重要な情報がAP像では得られないために、場合によっては形容しがたい侵襲的な手技になってしまうことがあります。

神経根ブロックはどの施設でも手技に大きな差があるとは思えませんが、手技そのものが結構侵襲的なもので、一度受けた患者さんにとって非常に大きなトラウマになってしまうこともあるかと思います。

私も初期に神経根ブロックの様子を初めて見たときの衝撃は忘れることができません。

オーベン「ビリッとしたら教えてくださいね」
患者さん「ぎあ〜や〜、そこや!!」

なんとも形容しがたい、耐え難いうめき声で、後から患者さんから「すげえしんどかった」と教えていただきました。

(この手技、自分は習得できないのではないのだろうか??)
と不安に思ったものです。

色々経験してみて、「場合によっては、このような激しいことがある」という結論に至りました。
しかし、患者さんの立場にとっては、「たまたまの一例です」ということで済まされることはあり得ません。

通常の神経根ブロックの手技


通常、どの施設でも同様と思いますが手技の要点をまとめると、

①透視室で患者さんを腹臥位にする。お腹に枕などを置くと後湾して刺入しやすい。
②棘突起外側4cm程度に刺入点をおく。
③一つ高位の横突起にブロック針を当てて、
④尾側内側に20度くらい傾けてゆっくり愛護的に針を進めていく。
⑤誘発痛が得られたら少し手間に戻して神経根造影し局所麻酔薬を注入、、、

概ねこのような内容のはずです。

誘発痛が得られなかったら?

微調整して椎弓根目指して繰り返し、、、

この辺りが不確実になる要因なんですよね、、、
神経根に当たらない時こそ愛護的にしないといけないのに、患者さんも手技者も根負けしてくると雑になりがちです。

愛護的なブロック針のすすめかた


愛護的にすべき、といっても、これもまた具体的ではありませんよね。

とある、また別のオーベンの先生から、
「針を指先でトントン、と叩きながら進めていくと悲鳴をあげられない程度の刺激が得られるよ」
と指導され、わたしは、今でもそれを採用しています(U先生ありがとうございます)。

さらにわたしなりに発展させて、人差し指先端の弱いトントン刺激と、中指先端のやや強いトントン刺激を使い分けながら1mm単位で進めています。

それでも、誘発痛が得られるまでの深さがわからない緊張感がたまりません。。。

血管造影室でしてみよう!


なんとかこの緊張感を払拭できないかと悩んでおりました。
「側面像や斜位像を同時に確認しながら出来たら、安全だし、確実なのになあ、、、」
「椎間孔にたどり着くまでは時間短縮になるよなあ。。。」
「そして初めての先生にも教えやすいし、、、」
みたいなことをどこで話していたのかはもう定かではありませんが、脳外科の先生に、
「血管造影室のCアームを使えばいいじゃん!」
ということを教えてもらいました。

目からうろこでした。

血管造影室のCアームは360度回転しますし、頭尾側にも振ることができます。
その場で決まった角度をメモリーすることもできます。
そして何よりも、手慣れた技師さんが扱ってくれます。

なので、最初に
①終板を合わせたAP像
②刺入角度の斜位像
③側面像
をメモリーさせて
針刺入の都度、見たい角度を確認することで、深さの情報を得ることができて、
「当たらない」「強烈な刺激」などの心配事を回避できるようになりました。

本日のまとめ


友人から、無事に滞りなくブロックが終わった旨のメールが届き、安堵しました。
ただ、きっと彼もAP像で難なく通常通りブロックしていることとは思いますが、、、

わたしはあの針が届くまでの不安感、緊張感や、ブロック後に患者さんから逆に辛かった、と言われるのが嫌、ということで血管造影室でのブロックを採用しています。

ただ、それでは通常のAP透視を用いたブロックの手技の技術が鈍るという難点はあります、、、

しかし、わたし自身が患者だったら、アンギオ室で確実にブロックして欲しいですもの、、、

透視室でのブロックを否定しているわけではありません。
特に、この教科書はわたしにとってのバイブルの一つです。
★★★
ブロック初学者に超おすすめです!!ブロック針の持ち方から解剖的な注意点など詳細に豊富な図で説明してくれます!!



以前、患者さん用にまとめた記事です。