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はじめに


腰椎後方椎体間固定術(PLIF; posterior lumbar interbody fusion)は有用な手術のひとつです。

腰椎の変性疾患は高齢化社会において、増加の一途です。

治療成績の安定化をめざし、多くのメーカーが椎体間ケージの改良を行っております。

今回はPLIFケージの前方逸脱についての報告をまとめました。

術中のケージの前方逸脱、intraoperative antepulsionについて


1) Prooubasta IR; Spine.27,E399-E402,2002
2) Ceylan D; PanAfrican Medical Journal.20,342,2015
のです。
1)は、一例報告、2)は三例報告しています。

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Intraoperative anteplusion:術中にPLIFケージを前方腹側に打ち込んでしまった、というものです。

この合併症は、あまり論文化されておりませんが、もしかしたら水面下には起こっている現象かもしれません。
いわゆる、「PLIFのあるある」、かもしれません。

腰椎の前弯を獲得するために、ケージを、より椎体前方に置きたい気持ちがそうさせるのだと思います。

前方逸脱を起こす原因


この合併症は、いくつかのエラーが重なって生じる現象です。

2つの論文をまとめると、

①Curattageを頑張りすぎて、前方あるいは前側方の線維輪を損傷してしまった
②ケージ挿入時に側面透視を確認せずにめいっぱい打ち込んでしまった(トライアルは?)
③側面透視は確認したが、正面での打ち込む方向にズレが生じてしまった
④透視を外したあとに、移植骨のインパクターで前方に打ち込んでしまった
⑤スクリューで過度にcompression forceを加えてしまった

などの原因が考察されていました。

対策について


そこから導き出される対策は、下記の如くと考えます。

①術前に椎体の形を十分評価する、とくにS1椎体の前側面。おむすび型は要注意。
②側面透視で深さを確認しながらcurattageを行う
③正面透視で打ち込みの方向を確認する
④側面透視で深さを確認しながらケージの打ち込みを行う
⑤移植骨を打ち込むときも側面透視を確認する
⑥過度のcompression forceをかけないようにする


本日のまとめ


煩雑!!という反論もあろうかと思います。

必ずしも全行程を上記の通りにする必要があるかどうかはわかりませんが、
「普段と違う」
という感覚が生じた場合は、すでに何か起こっているでしょう。

全行程において、
大丈夫?普段とおり?
と自問自答しながら手術を遂行していくことが重要だろうと考えます。

ちなみに
腹側に逸脱したケージはその後、どうしたか??
ですけれども、
文献1は、翌日CTで大血管近傍にあり、やっぱり心配だから同日に開腹し抜去
文献2は、ケージ周囲はツルリとしているし、癒着の影響は低いのではないか?血管の隙間にあるのですぐ抜去はせず。1,3,6,9ヶ月慎重に画像フォローを繰り返したが移動しないのでそのまま。

う〜〜ん、どちらを選択しますか?

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