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はじめに


若年者の腰痛診療において、注意しておかないといけないものに、疲労骨折があります。
代表格として「腰椎分離症」があります。
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もうひとつ念頭においておかなければならないものがあります。

それはタイトルのように、仙骨の疲労骨折です。
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腰痛診療は仙骨・仙腸関節まで意識する


仙骨には、着地のときには体重の約4倍走行時には体重の約10倍がかかるといわれています。

骨折をおこしやすい場所は仙骨翼になります。
疲労骨折の多くは仙骨翼のtipに発症しますが、症状は腰痛として自覚されていることが多いです。

「仙腸部が痛いんです」
などと言ってくれる患者はいないと思ってよいでしょう。

診察すると、仙腸関節部に圧痛があるので診断のヒントになります。

レントゲンではまずわかりません。
CTやMRIを組み合わせなければ診断にいきつきません。

仙骨の荷重伝達のバイオメカニズム


仙骨翼に疲労骨折が生じやすい理由は、体幹の荷重伝達のバイオメカニクスにあります。

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体幹の荷重は S1 椎体から左右に分かれて仙骨翼,臼蓋へと伝わります(赤矢印)。
反対に、床反力は大腿骨から臼蓋,仙骨翼, S1 椎体へと伝わります(青矢印)。

よって仙骨翼の部位が互いの負荷の折衝部位となるため疲労骨折しやすい、と考えられています。

野島先生らは有限要素解析を用いて、転倒や接触,尻餅などで、仙骨翼に応力が集中することを報告されております。
野島和晃ほか:骨盤脆弱性骨折の動的応力変化に伴う骨折パターンの再現.臨床バイオメカニクス,36:165- 170, 2015.


そういった理由で、仙骨翼の骨折は若年者の疲労骨折のみならず高齢者の脆弱性骨折の好発部位でもあります。

本日のまとめ


脊柱は腰椎までではありません。
仙椎、仙腸関節、骨盤のほうまでしっかりケアする必要があると思います。

異動したてのときは、CTもMRIもS1-2付近で終わっていて、本当に苦労したものです(汗)
今はしっかり撮像範囲に組んでもらっています。

診療は脊柱管の内で限定せず、脊柱管の外までしっかり意識を持ちましょう。

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