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はじめに


場末の救急病院で勤務していると、救急搬送される骨粗鬆症性椎体骨折の多さに驚きます。

想定外に多くの骨粗鬆症性椎体骨折に携わっており、日々のブログの更新も骨粗鬆症関連や外傷関連が多いですね(汗)

BKPを早期に導入したほうがよいと思われるケースがある


個人的には骨伝導能のない異物を椎体に入れることは好ましくないと思っており、決してBKP推進派というわけではないのですが、、、
早期に離床できなければ寝たきりの末路を辿ってしまうことが心配される高齢者症例にしばしば遭遇すると少なからず、考えが変わってきます。

家族の熱心な支えが得られるのであれば、積極的にBKPを行っているほうだと思います。

これは星野先生が非常にわかりやすくまとめてくださっています。



PMMAの漏出に注意


ただ、BKPは低侵襲な方法ではありますが、だからといって合併症がまったく心配ないかというとそうではありません。

わたしが毎回一番危惧している心配事は、PMMAの漏出の問題です。

PMMAの挙動はこちら側ではコントロールできません。

・血管に漏れると肺塞栓がおこるおそれがある→致命的
・脊柱管に漏れると神経症状を惹起するおそれがある→重篤な後遺症のおそれ

このような心配事が起こらないように、挙動がコントロールできない分、十分な粘稠度になってから注入しないといけません。
そして決して強い力で圧入しないようにしなければなりません。

そんなことを言いつつも、椎体静脈から椎体外へわずかに漏出しており、反省した次第です。




ところが、先日CTを見て愕然としました・・・

IMG_20180221_174822


無症候ではありますが、完全に脊柱管内の漏出を認めます。

無症候、とは結果オーライの話で、あとわずかでも注入していたらどうなっていたことかわかりません、、、

PMMAは詰め過ぎないようにする判断が難しい


バルーンの圧で椎体内を拡張させても、バルーンを回収するときにdeflateするので、結果得られたcavityはPMMA注入時には少なくとも幾分かは縮小しているはずです。

よって例えば4ccで拡張させても、PMMAは4ccみっちり注入することはできません。

経験的にはマイナス0.5ccくらいでちょうどいいように感じていましたが、、、
このような事象が起こってしまうからイヤですね。。。

何よりも、たくさんPMMAを詰めたい、という術者の心理にブレーキをかけるタイミングを訓練しないといけないです。

たとえ側面正面の2面透視で観察していても後壁ははっきりしないですし、側面は左右のバルーンが重なっていてしっかりはわかりません。。。

本日のまとめ


低侵襲=低リスク
という図式は成り立ちません。

今回は脊柱管内に漏出していてとてもつらい気持ちになりました。

BKP自体は早期疼痛緩和が得られ、患者さんの満足度が非常に高い手技ですが、常に緊張感をもって治療にあたらないといけないですね。

PMMAをたくさん詰めたい、という術者の心理に抗うように、
「左右合わせて拡張した量のマイナス1.0〜1.5g注入する」
とかルールを決めておいたほうがいいかもしれませんね。

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