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はじめに


術後せん妄
:delirium
:postoperative cognitive impairment
は発生してほしくない周術期の合併症の一つです。

脊椎手術においても術後せん妄を引き起こしてしまいます。

最近は他科よりもわりと高率に起こすのではないかと思っており、
影響するリスクファクターやトリガーが脊椎手術特有のものが何かないものか、注目している次第です。

どなたか、何か、思いつきませんか??

術後せん妄は関係者全てにおいて大変


術後せん妄になると見当識がなくなって、
怒ったり頑固になったりと、非協調的になって、
点滴は抜くわ、導尿カテーテルは抜くわ、で大騒ぎになってしまいます。

固定術をしている場合などは、安静や前屈禁忌を守れなくなると、術者としてはとてもとても心配になってしまいます。

はたして術後せん妄を防ぐ方法はあるのでしょうか?

リスクファクターについては以前、こちらにまとめました。




意外に多い薬剤の影響によるせん妄


実は、薬剤の影響によるせん妄というのは、全体で10〜20%と言われており、
思った以上に頻度が高いことに驚きを隠せません。

今回、もう少し、原因となる薬剤についてまとめたいと思います。

・抗パーキンソン病薬
・抗コリン薬
・H2受容体遮断薬
・抗不安薬
・睡眠薬
での報告が多いです。

抗パーキンソン病薬


・レボドパ
抗コリン薬・・・アーテンやアキネトン内服しているは要注意です。

抗不安薬・睡眠薬


ベンゾジアゼピン系薬

H2受容体遮断薬


・ファモチジン
術後ルーチンに使用していたのですが、見直す必要があるかも、、、

抗てんかん薬


・カルバマゼピン(テグレトール)
・クロナゼパム(リボトリール)
・フェニトイン(アレビアチン)

抗うつ薬


主に三環系抗うつ薬
・アミトリプチリン(トリプタノール)は抗コリン作用も強く注意が必要
・アモキサピン(アモキサン)
・イミプラミン(トフラニール)
・クロミプラミン(アナフラニール)

抗精神病薬


フェノチアジン系薬剤
・クロルプロマジン(コントミン)

ほか、抗生物質のセファメジンでも報告があるようで、、、困りますね。。。

本日のまとめ


術後せん妄はいかにトリガーを減らせるか、につきます。
・身体拘束
・コルセット
・疼痛
・睡眠障害
・心理的ストレス

患者さんの心の声に届くような医療を提供していきたいですね。

その上で、疑わしい薬剤に関しても普段から注意しておくことは重要なことだと思います。

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