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はじめに


ひさしぶりに説明用パンフレットを。。。

腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療
コンドリアーゼ椎間板内注入療法 説明および同意書
を作成しました。

これが100点とは思いませんので、修正点などご指摘いただければ幸甚です。

☆☆☆☆
医療は本質的には不確実なものであり、過失がなくとも重大な合併症や事故が起こりえます。加齢に伴う症状や診療行為と無関係な病気が手術加療前後に発症することもあります。そのような事象は想定範囲外のものであり、すべての可能性を言い尽くすことはできません。しかしどのような合併症や偶発症に対しても、治療に最善を尽くします。

治療の目的


・腰椎椎間板ヘルニアによる症状がこれまでの保存的加療で改善が得られませんでした。あるいは悪化傾向にあります。よって椎間板ヘルニア治療剤であるコンドリアーゼの椎間板内注入療法を行います。コンドリアーゼには、椎間板内髄核の主成分を特異的に分解し、保水能を低下させ、椎間板の内圧を減じる作用があります。結果、ヘルニアによる神経の圧迫が軽減され、下肢痛や腰臀部痛などの改善が見込まれます。
・すべての椎間板ヘルニアに適応されるものではなく、後縦靭帯下脱出型のみ適応となります。
麻痺や膀胱直腸障害のような神経障害を発症している場合は適応されません。むしろそのような状況では本剤使用ではなく速やかな手術療法が推奨されます。
・本剤は同一椎間板に再投与することはできません。あくまで単回注入の薬剤です。
複数高位の椎間板に同時投与することはできません。使用経験がないため有効性、安全性は確立されていないからです。
注入後に速やかに症状が改善するわけではありません。4〜6週程度の観察期間を要する見込みです。
ヘルニコア.001


治療の方法


・治療時には点滴を行い、血圧・心電図及び動脈血酸素飽和度測定のモニターを装着します。
・治療は腹臥位あるいは側臥位で局所麻酔下で行います。透視を用いて椎間板穿刺針を適切に該当高位の椎間板髄核に誘導し、コンドリアーゼを注射します。直接神経を治す効果はありません。

手術の合併症


・一時的に腰痛、下肢痛、発疹、発熱、頭痛などが生じることがあります。ほとんどの症状は軽度のものですが、以下の合併症には十分な注意が必要です。

ショック、アナフィラキシー
本剤は異種タンパクであるため、ショック、アナフィラキシー等が発現する可能性があります。アレルギー反応は食物でも植物でも起こりえます。薬剤でも当然起こりえます。アレルギー反応は事前には予測できません。アレルギー反応も、かゆみや発疹程度のものから、呼吸困難やショック状態に至るものまでさまざまです。不慮の反応に備えます。承認時までに本剤の投与によるショックの発現は認められていません。皮膚過敏症の発現時期は1日以内2.2%、2~7日0.4%で、投与後8日以降は認められませんでした。

術中および術後の出血
椎間板穿刺針は22~23Gの細い針を用いるので、出血は微量です。血をサラサラにするお薬や、肝臓の機能の低下、あるいは血液の病気などあれば血腫を形成する心配があるのでお教えください。

感染、神経炎、椎間板炎
本剤投与による重篤な感染症の新たな発現や悪化等の報告はありませんが、投与時の穿刺による感染のリスクが考えられます(椎間板造影検査による椎間板炎のリスクは0.1~0.2%と報告されています)。糖尿病や免疫を抑えるお薬、あるいは免疫が低下するような病気があればお教えください。
また、注射5日以内に発熱があれば中止しますのでお教えください。

腰椎不安定症
椎間板変性の進行や椎間板周辺組織の変性が起こり、腰椎の不安定性が生じる可能性があります。治療後は、定期的な画像フォローを行いましょう。

後療法について


治療当日は入浴を控えてください。治療後1週間は、腰に過度の負担がかかる前屈での作業や、動作(走る、スポーツ、重量物を持ち上げる等)を避けてください。治療後3週間を目途に、段階的に慎重に開始しましょう。
加齢現象は治療後も続きます。これは生理現象なので仕方がありません。加齢現象や反復する負荷により、腰椎の椎間板や椎体、椎間関節が変性したり黄色靭帯が肥厚変性することにより、新たな病態が生じる場合や、不安定性を呈する場合があります。外来での定期的なチェックを行いましょう。

その他
今日の医学の発展は患者様の貴重な臨床データの積み重ねによって築かれてきたものです。脊椎脊髄外科では患者様のプライバシーの保護に努め、個人情報が流出しないように匿名化を行った上で、臨床データを保存し、学会や医学論文に使用させていただく場合がありますのでご了承ください。

以上、コンドリアーゼ椎間板内注入術の目的と合併症について説明いたしました。ご不明な点があればお申し付けください。

治療にご理解をいただけましたら同意書に署名をお願いいたします。

本日のまとめ


以上、コンドリアーゼ椎間板内注入療法 説明および同意書 についてのまとめました。

繰り返しになりますが、これで100点とは思いませんので、何か必要なことをご指摘いただければ幸甚です。