カテゴリ:
スポンサードリンク

はじめに


テクノロジーの進化は手術の領域にも恩恵があります。

わたしが今もっとも注目しているものはマイスパインMCという3Dテンプレートを用いたCBTによる後方椎体間固定術です。

このシステムの良い点を述べます。

CBTについて


CBTは、腰椎の後方スクリュー刺入のまったく新しい軌道として、2009年にThe Spine Journalに掲載されました。
Cortical bone trajectoryの略です。
myspine.001


従来の椎弓根スクリューの軌道とまったく異なります。

・関節突起間部付近の椎弓根下内側から刺入
・やや上めに打ち上げ
・椎体外側めがけて、やや外向き

なぜ、そのような軌道になったのでしょうか。

それは、スクリューのスレッドを十分硬い皮質骨に噛ませることで、従来の椎弓根スクリューより強力なトルクを得たい、という発想からです。

CBTは、
①椎弓根内側下縁の皮質骨
②椎弓根外側上縁の皮質骨
③椎体外側の皮質骨
と3段階で皮質骨を噛み込みます。

このSantoni先生の報告では、スクリューが細くて短いにもかかわらず、引き抜き強度が従来の椎弓根スクリューの2割り増しです。

とんでもないことです。

さらに強い固定力を得るために、
・椎体外側に抜くか?
・あるいは固定下位椎体であれば上の終板を抜くか?
などの論議もされましたが、外に抜くと神経・血管損傷が怖いし、上に抜くとケージと干渉するかもだし、ということで、この議論は下火になっているように感じます。

なぜ今、注目しているの?


ところで、2009年に発表されて、なぜ、今ころ注目してるの?

という質問が飛んできそうです。

実は、CBTはわたしにとってかなり難しい、というのが結論でした。

3段階の硬い皮質を得るために、下穴をつくるときに、勇気をもって硬いところに挑んでいかなければなりません。

結局、硬さに弾かれて、固くない海綿骨の方向に入ってしまう。
結果、細くて短いだけの椎弓根スクリューの軌道になってしまう。
(なんちゃってCBTと揶揄される)

という危惧があったわけです。

マイスパインMCのすごいところ


ところがです。

このマイスパインMCは、術前の患者さんのCTをもとに、3Dプリンターでスクリューガイドを作成します。

このスクリューの軌道は、メダクタのソフト内で、術者が好きなように刺入点、角度、太さ、長さを作成できます。
その設計図に沿ったテンプレートが作成されるのです。

まさにテーラーメイド

これまでの経皮的椎弓根スクリューと比べて、テンプレートを用いることで、被曝量も圧倒的に減らせました。

さらに、術野では、模型は実際のその患者さんのものなわけですから、展開前から解剖を参考にできます。
myspine.003


テンプレートを完全に信じることができるか?という命題がありますが、答えはイエスです。
わたしは完全に信じています。

おかげで、硬いところでもドリルを用いて下穴を作成できるようになりました。

中腔スクリューなので、ドリルで下穴を掘った上で、ガイドピン越しにスクリュー刺入が可能です。

写真にあるように、両手でゆっくり回さないといけないくらいの、信じられないくらいのトルクが発生します。
myspine.006


これはすごい、、、

これまでのCBTの弱点とされた、細くて短いスクリューですが、しっかりと設計図・模型を作成できることにより、径6.0で長さは40-45mm程度のスクリューが刺入できるようになりました。

これはほとんど椎弓根スクリューのサイズと遜色ありません。

その上で、椎体のより硬いところを通過していくのだから、トルクが強いのも当たり前です。

CBTは回旋や側屈に弱いとされます。

長め、太めのスクリューが入れられるようになっただけでなく、トランスバースコネクターを入れることができます。
予めロッド間にスペースを余して刺入点を作成することで、容易にトランスバースコネクターが入れられるのです。

これは、トランスバースコネクターが入れられない経皮的椎弓根スクリューシステムの弱点を補います。
myspine.007


本日のまとめ


技術の革新は素晴らしいものです。

あなたの脊椎から作成したテンプレートをもとに手術しますよ、という新たな説明が加わりました。

まさにマイスパイン=ユアスパイン、といったところでしょうか。

こうなると、これまでcancellous screwであった椎弓根スクリューですが、マイスパインMCのこの素晴らしい精度であれば、CBT用に、corticalのスレッドのスクリューをつくってもよいかもしれません!

またソフトウェアがさらに発達することで、スクリュー軌道を術者が作成するのではなく、最もCTのHU値の高い部分をソフトウェアが示して、それに沿って術者が微調整するだけ、というようなこともできそうです。

さらには頚椎への応用など、、、

ぜひ、お願いいたします!!