来た!イベニティ再投与!レセプト記載に必須事項は2つ。
スポンサードリンク
はじめに
アステラス製薬から発売されるイベニティ。
いよいよです。
骨粗鬆症治療薬で、一般名はロモソズマブです。
骨細胞で産生され、骨形成を抑制するスクレロスチンに対するヒト化モノクローナル抗体薬になります。
・骨形成促進
・骨吸収抑制
を兼ね揃えるすごい薬剤です。
使用の留意事項について、厚労省保険局からの通知が届きましたね!
アステラスさんがガッツポーズを取っている様が目に浮かぶようです。
通知内容についてまとめます。
イベニティ使用の留意事項
通知のキモは下記の如くです。
①重症の骨密度低下症例、骨折危険因子を有する症例をしっかり選別して使用せよ!
②12か月投与が終わったら、適切な骨粗鬆症治療薬を継続せよ!
そして、いちばん大事なこと。
これは抜粋します。
③本製剤を12か月投与した後に本製剤を再投与する場合、再投与開始にあたっては、次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
ア 骨折の危険性が高いと判断した理由
イ 本製剤を再投与するまでに投与した骨粗鬆症治療薬の品名
ということは、つまり、イベニティは、
いつでも!
何回でも!
再投与できる!
ということになるわけですね。
レセプトに上記ア、イをしっかり記載することが必須です。
もちろん、詳記判断者次第で、レセが完全に通るかどうかはわかりませんが、、、
しかし、縛りがないことはとてつもなくデカイ!!
これまでの骨形成薬剤は一生のうち24か月間だけ
イベニティの特徴は、なんといっても、
・骨形成促進
・骨吸収抑制
の両軸を兼ね揃えているところです。
これまで骨形成作用を有する薬剤はフォルテオやテリボンしかありませんでした。
これらPTH製剤は、
一生のうち投与できるのは24か月まで
という縛りがあるため、いったん治療が終了してしまった患者に骨形成作用のある薬剤投与はできません。
次の一手はもう骨吸収抑制剤しかありませんでした。
イベニティの今回の通知のおかげで、骨形成作用をめざした骨粗鬆症治療に大きな大きな光明がさしこむこととなりました!!
ということで、前回の記事、ロモソズマブの取扱が今後どうなるのか、わたし個人の感想で気になるところといえば、
①12ヶ月投与終了後、骨吸収抑制剤にスイッチしたあとに、再度、用いることができるのか?
もし、ある期間をおいて再開可能ならばもう、無敵。
→無敵状態を得ましたね。
②できないならば、次点の策として、テリパラチド製剤を使用できるのか?
→まったく問題ないですね!
テリパラチド→イベニティ→デノスマブやビスフォスフォネート製剤→イベニティ再投与
あるいは
イベニティ先行、もありかもしれません。
これは今後の臨床研究が待たれるところです。
③アステラス、今後の株価はどうなる?
笑笑
追記:
抗スクレロスチン抗体について勉強すると、テリパラチドよりイベニティを先行させる理由があまり見つからないですね。
まずは
テリパラ→→デノスマブ
あるいは
テリパラ→ロモソズマブ→デノスマブ
といったところでしょうか。
イベニティ®:一般名ロモソズマブ。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) August 7, 2019
・骨形成促進作用
・骨吸収抑制作用
を兼ね揃える、すごい薬剤です。
骨折症例の重症骨粗鬆症治療に対しては、
テリパラチド→吸収抑制剤
という治療の流れは大きくは変わらないと思っています。https://t.co/WKM15TMwb1
注意喚起に対しては明日の記事で。
本日のまとめ
イベニティ、やってくれました!
骨粗鬆症加療の流れが大きく変わること間違いなしです。
われわれ臨床家がもっとも心配するのは、どれだけ再骨折を防げるか。
そして外科医として気になるのは、fusion surgeryの成績を向上させうるのか。
大きな治療選択肢を得たことはとてもありがたいことですね!
関連記事
商品名イベニティ
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年3月15日
一般名ロモソズマブ
抗スクレロスチン抗体
骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の両軸を兼ね揃えている薬剤になります。
今後の骨粗鬆症治療薬にとって光明です。https://t.co/wtgVUZplKi
イベニティ®(一般名ロモソズマブ)。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) August 9, 2019
アステラス・アムジェン製薬から発売されている骨粗鬆症薬です。
発売においてある問題点が懸念されていました。
「心血管系の有害事象」
アステラス・アムジェン製薬から注意喚起が出されましたので、まとめておきます。https://t.co/WKPtP9epH8
骨粗鬆症治療薬で、骨形成促進にはたらく薬剤であるフォルテオ。
— とぜんな脊椎外科医@四つ葉スパインクリニック (@yotsuba_spine) 2019年1月4日
高価である上に、自分で皮下注射しなければなりません。
現場の意見から、ふたつほどフォルテオ改善のための案を挙げます!
届け〜〜〜!!https://t.co/35LUYjD4DM
コメント
コメント一覧 (4)
コメントいただき、誠にありがとうございます。まある先生のご指摘の通りだと思っています。完全に私見で申し訳ないのですが、8月6日の記事にいまの治療方針をアップします。またご意見いただけましたら幸甚です。ありがとうございました。
大変勉強になりました。ありがとうございます。
骨形成促進+骨吸収抑制は一見魅力的に感じますが、骨リモデリングが抑制されるため、骨折直後の使用では骨折治癒が遅延するように感じるのですがいかがでしょうか。
またイベニティの骨代謝マーカーを見ると投与3ヶ月以降骨形成マーカーが低下しています。恐らく抗スクレロスチン作用により副次的な骨芽細胞前駆細胞の減少が原因と考えています(審査報告書にも記載があったと記憶しております。)。長期で使用し続けるとただの骨吸収抑制になってしまい、1年の縛りがついた理由の一つとも考えているのですが、、、
個人的にはテリパラチドの後療法、もしくはテリパラチドが使用できない患者さんが対象と考えております。
コメントありがとうございます。「何度でも」というのは誤解ある記載で申し訳ございません。使用期限を超えての再使用になれば、症状詳記にその正当性を記載しなければなりませんし、詳記の監査で受理されなければ、それは医療機関の持ち出しになるので、独立法人化されている現状ではそうそう乱発という事態は起こらないのではないかと思います。しかし思考停止に陥ってはならないですよね。整形外科後期研修医先生のおっしゃられる通り、症例ごとのテーラーメイド治療の積み重ねが病態の本質、予防へのアプローチにつながると信じています。
何度でも投与できるというのは一見ありがたいようで、思考停止のように1シリンジ27420円を乱発する医者が増えそうなのが若干気がかりではあります
それでも多発椎体骨折やDISHの椎体骨折でlong fusionするよりは安く済むのかもしれませんが…
若輩ながら、病態の本質への考察や、予防は疎かにできないと身に沁みて考えています