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とぜん201903-.001

はじめに


・術後せん妄
・夜間せん妄

見当識がなくなり、、、
怒ったり頑固になったり、、、
非協調的になって、点滴は抜くわ、導尿カテーテルは抜くわ、、、
大騒ぎになってしまいます。

とくにinstrumentationを行った患者さんが術直後にせん妄をきたすと術者の心情としてはたまったものがありません。

instrumentation failureが起こるのが心配で心配でならないのです。

研究会の夜の懇親会で、術前からロゼレムを処方している、と、ぽろり伺いました。

「え〜、そんな手があったんですか??」

グーグル先生に質問してみると、、、いろいろ出てきますね!
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ということでPubMed先生に質問してみても、たしかに論文化されております。
スクリーンショット 2019-03-17 9.14.28


そうか、、、そういう効果があるんだ。。。

抄録まとめ


Efficacy of Ramelteon for delirium after lung cancer surgery.
Miyata R, Omasa M, Fujimoto R, Ishikawa H, Aoki M.
Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2017 Jan;24(1):8-12.
doi: 10.1093/icvts/ivw297. Epub 2016 Sep 13.
・2013年1月から2015年12月までに施行された肺がん手術患者70歳以上
・比較対象:2013年および2014年に治療を受けた患者群。
・ラメルテオン群24人
・対照群58人。
・ラメルテオン群:せん妄から完全に回復するのに1日
・対照群8日
・対照群では5日後に最大​​のせん妄状態が発生。
・結論:ラメルテオンは、高齢患者の肺がん手術後せん妄の発生率と強度を低下させる可能性がある。

Postoperative delirium after pharyngolaryngectomy with esophagectomy: a role for ramelteon and suvorexant.
Booka E, Tsubosa Y, Matsumoto T, Takeuchi M, Kitani T, Nagaoka M, Imai A, Kamijo T, Iida Y, Shimada A, Takebayashi K, Niihara M, Mori K, Onitsuka T, Takeuchi H, Kitagawa Y.
Esophagus. 2017;14(3):229-234.
doi: 10.1007/s10388-017-0570-z. Epub 2017 Jan 21.
・対象:2012年1月から2016年3月の間に静岡県立がんセンター病院で食道切除術を伴う咽頭摘出術を受けた65人の患者
・方法:後ろ向き研究
・結果:術後せん妄は9例(13.8%)の患者に発生し、77.8%の症例は術後1〜3日目間に発生。
24例の患者が術後マイナートランキライザーを飲み、8例(33.3%)にせん妄発症。
残りの41人の患者のうち、suvorexant(ベルソムラ)の内服の有無にかかわらず、ラメルテオンを服用患者のうち、1人(2.4%)のみ手術後せん妄発症。
suvorexant+ラメルテオンの両方を服用している16人では、術後せん妄は観察されなかった。
・結論:術後せん妄の有意な予防因子は、唯一ラメルテオンの使用であった。ただし、マイナートランキライザーの使用は術後せん妄発症と関連していた。

Association of Delirium Response and Safety of Pharmacological Interventions for the Management and Prevention of Delirium: A Network Meta-analysis.
Wu YC, Tseng PT, Tu YK, Hsu CY, Liang CS, Yeh TC, Chen TY, Chu CS, Matsuoka YJ, Stubbs B, Carvalho AF, Wada S, Lin PY, Chen YW, Su KP.
JAMA Psychiatry. 2019 Feb 27.
doi: 10.1001/jamapsychiatry.2018.4365. [Epub ahead of print]
・対象:PubMed、Embase、ProQuest、ScienceDirect、Cochrane Central、Web of Science、ClinicalKey、ClinicalTrials.govから抽出
・方法:せん妄の治療と予防のための薬理学的介入を検討するランダム化臨床試験
・主要アウトカム:せん妄患者における治療の反応およびせん妄の危険性がある患者におけるせん妄の発生率
・結果:合計58件のRCTが包含。
うち1435人のparticipants(平均年齢63.5歳; 65.1%男性)のRCTと8168人のparticipants (平均年齢70.2歳; 53.4%男性)のRCTが検討された。
ハロペリドールとロラゼパムの組み合わせが、プラセボ群と比較してせん妄治療で最も奏効率が良い(オッズ比28.13; 95%CI2.38-333.08)。
せん妄予防については、ラメルテオン、オランザピン、リスペリドン、および塩酸デクスメデトミジン群は、プラセボ群よりもせん妄発生率が有意に低かった(OR0.07、95%CI0.01-0.66)。
ラメルテオン;OR, 0.07; 95% CI, 0.01-0.66
オランザピン;OR, 0.25; 95% CI, 0.09-0.69
リスペリドン;OR, 0.27; 95% CI, 0.07-0.99
塩酸デクスメデトミジン;OR, 0.50; 95% CI, 0.31-0.80
・結論:せん妄の最良の治療法はハロペリドール+ロラゼパム
ラメルテオンが最良の予防薬。

あくまで予防薬としての位置づけ


せん妄治療薬としてはあまり効果は期待できないのかも、、、
あくまで予防薬としての位置づけでしょうか。

Ramelteon is Not Associated With Improved Outcomes Among Critically Ill Delirious Patients: A Single-Center Retrospective Cohort Study.
Thom R, Bui M, Rosner B, Teslyar P, Levy-Carrick N, Wolfe D, Klompas M.
Psychosomatics. 2018 Aug 10. pii: S0033-3182(18)30417-1.
doi: 10.1016/j.psym.2018.07.015. [Epub ahead of print]
・目的:ラメルテオンで治療されたものと、そうでなかったものとで重症のせん妄患者の治療結果を比較すること。
・対象:322人のICU患者。
a nonnegative Confusion Assessment Method-ICU scoreを用いて層別化
・方法:後ろ向き研究
・主要アウトカム;せん妄または昏睡のない生存時間およびせん妄または昏睡の解消の可能性
副次的アウトカム;人工呼吸器が外れた時間、抜管の可能性、死亡率。
・結果:Hazard ratios; delirium-coma resolution,1.05 (95% CI 0.54-2.01)
extubation, 1.20 (95% CI 0.47-3.03),
10-day mortality, 0.31 (95% CI 0.07-1.32)
せん妄ー昏睡時間中央値はラメルテオン投与群と非投与患者の間で差はなかった。
換気装置なしの時間中央値はラメルテオン群でより高かったが、ラメルテオンは症例の92%で挿管後に投与されたもの。
・結論:ラメルテオンは、せん妄または昏睡の解消、抜管期間、死亡率の改善とは関連していなかった。

これは対象がかなり重症患者ですね。

本日のまとめ


術後せん妄は発生してほしくない周術期の合併症の一つです。

影響するリスクファクターを除く管理が大事です。

ロゼレムに予防効果がありそうならば、リスク高さそうな患者さんには予めロゼレムを投与しておくのもひとつの選択かもしれませんね。

抑肝散もひとつの選択肢と思っています。

予防にはラメルテオン。
治療法にはハロペリドール+ロラゼパム、ということで考えておこうと思いました。

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