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とぜん201903-.001

はじめに


アステラス・アムジェン製薬から発売されているイベニティ®(一般名ロモソズマブ)。

骨細胞で産生され、骨形成を抑制するスクレロスチンに対するヒト化モノクローナル抗体薬です。

・骨形成促進作用
・骨吸収抑制作用


を兼ね揃える、すごい薬剤です。

実は、発売において、ある問題点が指摘されていました。

その問題点をすりぬけて(?)販売に至ったのですが、市販後にやはり、その問題点を看過することができなくなったようです。

その問題点とは、「心血管系の有害事象」の発現です。

アステラス・アムジェン製薬から注意喚起が出されましたので、まとめておきます。

販売開始の3か月間で11例の脳・心血管事象が生じている


担当MRさんのお話では、販売開始の3か月間で11例の脳・心血管事象が生じたそうです。

市販後国内副作用発現状況一覧というPDFを参照させてもらいました。
この調査報告書の中には死亡例もあります。

母集団がどのくらいかは、把握できないとのことでした。
そうはいっても、これはちょっと多すぎるのではないか、、、
と思ってしまいます。

イベニティ®は日本において先行販売されています


もともとイベニティ®は米国アムジェン社が開発した薬剤です。

MRさんは、販売時に
・FRAME試験
・BRIDGE試験
・ARCH試験・・・心血管系有害事象あり
という3つの国際共同治験について何回も熱っぽく解説いただきました。

心血管有害事象が出たために、米国では承認されなかった、と伺っています。

ところが日本人でサブ解析すると、有害事象が増えていなかったそうで、日本では販売の許可が下ったのですね。
心血管系有害事象を認めたARCH試験には日本は参加していなかったというのもありそうです。

ということで、アメリカ・ヨーロッパに先駆けて日本で販売されているという、問題のすりぬけ?見切り発車?的な流れがあります。

本日のまとめ


イベニティ®市販後調査で、販売開始3か月間で11例の脳・心血管事象が生じています。

骨粗鬆症はもともと心血管疾病ハイリスクの高齢者が対象となります。

・骨形成促進作用
・骨吸収抑制作用

のデュアルエフェクトは魅力的ですが、処方については、販売までのこのような経緯と副作用発現を考慮して、慎重で慎重で慎重な判断が必要ですね。