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カテゴリ:その他の脊髄疾患

脊髄出血性疾患に遭遇したら、どこまで検査するのが正解なの?

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とぜん201903-.001

はじめに


退行変性がメインの脊椎領域にも緊急の疾患があります。
その代表格は、血管障害です。

出血することもあれば、血管が詰まることもあります。

硬膜外血腫や脊髄梗塞などがありますが、実は、案外知られておらず、診断の遅れが問題になりがちです。

脊髄の出血系疾患に遭遇したら、どこまで、検査していくのが正解なのでしょうか?

診療群別臨床検査のガイドライン 2003を参考にしています(ふ、ふるい、、、あしからず)。
とぜん201903-.002

上腹部痛と心窩部痛。この原因は脊椎??

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はじめに


民間の場末の救急施設で診療していると、紹介での救急受診はほとんど参りません。

今回もとてもびっくりした次第なので報告します。

症例提示


60台の男性です。とくに既往や服薬歴のない健常な妻子ある方です。

主訴は上腹部痛。

夕食を終えて、突然痛みだしたそうです。

夜間の急患センターに行き、ペンタゾシン、ラニチジン塩酸塩投与を受けたそうですが、いまひとつ改善が得られないということで救急搬送されました。

搬送中に、上腹部から心窩部にまで痛みが広がってきたそうです。

外科で対応、採血、心電図や胸腹部CTが撮像されましたが、原因がはっきりしません。
憩室炎の診断で観察入院の運びとなりました。

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たびたび当ブログで問題提起している高齢者の多発性骨髄腫についてです。

よほど骨折の様相が明らかに病的でない限り、MRIだけでは骨髄腫による病的骨折かどうかは診断がつきません。

かといって、採血検査でも、高タンパク血症高カルシウム血症がなければスルーされてしまう可能性があります。
なぜならば、単純な貧血や軽度の腎機能障害は、高齢者にはよくあり得ることだからです。

それでは、
どうやってスクリーニングしよう
ということになるのですが、
蛋白分画を測定する
今現在はわたしは、これに限ると思っています。

まれ?Bow hunter's strokeについて。

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はじめに


股関節班から、
Bow hunter 症候群と診断され、頸部を回旋しないように、と言われて10数年、、、という症例がいます」
と相談されました。

すでに症状の再現性はなく、抗血小板剤内服は高血圧、狭心症の既往によるものだとか。

再現性がないなら大丈夫ですよ、とはなかなか断言できなかったので、せめて低侵襲検査として、頸椎Xpでの動態評価、MRI/MRA、頸動脈エコーで正中、回旋位での血流ドップラー評価を可能な限りで行ってもらい、所見がはっきりしなかったのでそれ以上の追加検査は行わず、通常以上(?)に愛護的に股関節手術してもらいました。

10数年前にBow hunter's strokeと診断するって臨床力すごいなあ、と感じました。
というのは、わたしは未だに診断したことがないからです。
見逃しているんだと思います。。。

ということでBow hunter's strokeについてまとめておきます。

特発性頸髄硬膜外血腫を早期に診断するポイント

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はじめに


勉強会をする機会がありましたので併せて記事に致します。

頸椎硬膜外血腫についてです。

頸髄硬膜外血腫は画像を示されれば、別段に診断に困るような疾患ではありません。

重要なことは「いかに早期診断ができるか」ということであることを強調させて頂きました。

画像所見は診察所見との整合性を確かめて。腰椎疾患として治療されていた硬膜動静脈瘻dural AVFより。

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はじめに


本日の症例提示です。

下肢症状が出現した際、
患者さんをはじめ、多くの医師は
症状の由来は腰から
と考えることが多いと思います。

そして、実際に腰の画像を撮像すると、腰部脊柱管狭窄症があったりします。

これが大きな落とし穴になります。

実臨床では、腰椎症などのいわゆる退行性変性疾患は
単純な加齢現象をみていることを含むわけで
実際の症状の主座ではないことを多々経験します。

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緊張性脊髄終糸症、脊髄終糸症候群、いわゆるTFT;tight film terminaleなんですが、
実は、わたしは診断できたことがありません。

TFTとは脊髄終糸の異常な緊張によって
脊髄円錐部が尾側に牽引されて起こす多彩な脊髄症状です。

脊髄終糸の役割


脊髄終糸とは伸び縮みの力がある軟膜が糸状になった組織です。
尾端から尾椎までつながっていて脊髄をハンモックのように支えてくれています。

病態


体を前に屈めると脊髄も前側、頭側に移動します。
そんな脊髄に強い牽引力が加わらないように終糸が調整してくれているのです。
その終糸がガチガチに硬いと伸びないので、
前かがみをする都度、脊髄に牽引力が加わってしまいます。

終糸の緊張状態によって脊髄の牽引が行われ、
頻回の脊椎前屈負荷によって腰膨大部を中心としたtraction myelopathyが発生する
とか
慢性牽引下の状態で、急性な牽引が加わると、
尾側脊髄に酸化代謝異常が発生する
とか
考えられています。

う〜ん、診断つけたことないんですよね。。。
文献的にも、診断に難渋し、遷延化してしまっているケースが多いようです。

これまでの医師生活で、一例もない、ってことはなかったのではないでしょうか。
それは、つまり、見逃している、ということです。
絶対に見逃さないぞ、ということで、
今回はtight film terminaleの診断についてまとめました。

脊髄梗塞の病型

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それでは、脊髄梗塞についてまとめます。
今回は、病型についてです。

脊髄梗塞の病型


脊髄梗塞の病型は
・前脊髄動脈症候群;anterior spinal artery syndrome
・後脊髄動脈症候群;posterior spinal artery syndrome 
・中心性梗塞;central infarction 
・横断性梗塞;transverse infarction
・Brown-Sequard syndrome
に分類されます。

脊髄循環についてのまとめ

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脊髄梗塞に関して
まれな疾患なので、スタッフと勉強会を開くことにしました。
まず脊髄の動脈支配について、まとめました。

分節動脈について


脊髄を栄養する血管は、それぞれの高さの分節動脈に由来します。
分節動脈は、
・頸髄レベル;椎骨動脈、上行頸動脈、深頸動脈から
・胸髄レベル;下行大動脈からの肋間動脈と、鎖骨下動脈からの最上肋間動脈から
・腰髄レベル;腹部大動脈、正中仙骨動脈、腸腰動脈からの腰動脈から
分枝します。

敗北感しかありません。。。脊髄損傷だけではなかった。まれな脊髄梗塞という病気。

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患者さんが救急来院されました。
もともとL4/5の椎間すべり症、不安定症による高度狭窄で内服治療中です。

突然の腰臀部痛のあとに両膝から下の感覚が脱失。
立つことができない。

救急担当医から当科へコンサルトされました。
「貴科で治療中の患者さんのL4/5狭窄症状が悪化しています」
ということでしたが、
「L4/5の馬尾症でそんな急なことは起こらない、
なにか新しいイベントが起こっているはず」

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