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タグ:脊髄損傷

申年です。サルの実験で脊髄損傷からの機能回復のメカニズムが明らかになりました。

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新年明けましておめでとうございます。

しんねん、と変換したら、信念と出てきた、とぜんな脊椎外科医です。
読んでくださった方々になんとか有益なブログになるよう、今年も頑張っていきたいと思います。

さて、今年の干支はさる、ですね。

サルといえば、このような記事があります。
Science 350: 98-101; 2015.
側坐核から運動野への機能的統合が脊髄損傷からの機能回復に貢献する

  意欲を高く持つと脳脊髄損傷後のリハビリテーション効果が上がるということはよく知られていますが、そのメカニズムは未だ明らかではありません。我々の研究グループでは近年、部分的な頚髄損傷になったサルにおいて、一度は麻痺した手指の運動が1ヶ月程度で回復することを見いだし、その運動機能回復に対する大脳皮質の関与について検討してきました(Nishimura et al. Science 2007)。機能回復中に意欲に関与していると考えられている側坐核を含む腹側線条体の活動が損傷前に比べて増大しており、その側坐核活動は大脳皮質運動野の活動と相関するようになることを見出しました。そのことから、側坐核と運動野を結ぶ神経ネットワークが機能回復に重要である可能性を示してきました(Nishimura et al. PLOS ONE 2011)。
  しかし、先の研究では運動機能が回復したサルでは側坐核と運動野の活動の関係性が強くなるということを示すことはできましたが、その因果関係については未だ不明でした。そこで、本研究では、手の運動機能回復に対する側坐核及び運動野の活動の因果関係を明らかにするために、運動野と側坐核より電気的な脳活動を測定しながら、脊髄損傷前後のさまざまな時期において側坐核を薬理的に不活性化し、それにより引き起こされる手指の運動と運動野の電気活動の変化を観察しました。
  まず側坐核と運動野の間の情報の流れを明らかにするために、脊髄損傷前後の機能回復過程のさまざまな時期で、餌を指でつまむ運動中(図の手の巧緻性を示す)の側坐核と運動野の電気的活動を同時に記録しました。すると、脊髄損傷前にはみられなかった側坐核から運動野への情報の流れが、機能回復中には強く認められるようになり、運動機能が回復すると再び認められなくなりました。このことは、損傷からの回復時に側坐核が運動野を活性化しているということを示唆します。
  次に、実際にその因果関係を検証するため、側坐核に神経活動を抑制する薬物を注入することで側坐核の活動を一時的に不活性化し、それにより引き起こされる手指の運動と運動野の電気活動の変化を観察しました。すると、脊髄損傷から回復し始めていた手の運動は側坐核の不活性化によって回復過程の早期においてのみ障害されました。このときにサルが餌をとろうとする意欲の低下はみられませんでした。さらに、側坐核の不活性化によって運動野の活動は大きく抑制されることが明らかになりました。これらの結果から、脊髄損傷からの機能回復過程では側坐核が運動野の活動を促進することが、運動の遂行に重要な役割をはたしていることが証明されました。

Function of nucleus accumbens in motor control during recovery after spinal cord injury
Masahiro Sawada, Kenji Kato, Takeharu Kunieda, Nobuhiro Mikuni, Susumu Miyamoto, Hirotaka Onoe, Tadashi Isa, Yukio Nishimura
Science 350:98-101 (2015)
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脊髄損傷前や脊髄損傷から完全回復した後では、手の運動を実行するために、側坐核の活動は必要とされていない。ところが、脊髄損傷の機能回復早期では側坐核によって活性化された運動野の活動が、手の運動機能回復を支えている。



脊髄損傷患者さんにとって、多岐にわたるチームの関わり合いが必要です。
外科医としてどこまで貢献できるのか悩みます。

昨年、脊髄損傷に関して、
脊髄損傷は手術での回復が困難であるため、外科医としては挫けそうになること
・ノーベル生理学医学賞受賞の山中伸弥教授のiPS細胞発見と現在の応用の講演を聴いて感動したこと
をpostしました。

側坐核腹側線条体をうまいこと刺激できれば外科医としての新たな役割ができるかもしれません。
ちょっと想像つきませんが、、、

まとめ


この研究では早期のリハビリ医療の重要性もさらに明らかになったと思います。
側坐核の役割が明らかになったことで、治療法が産み出される可能性が出てきました。

もちろん今後の再生医療にも注目です。

澤田眞寛先生の今後のますますのご活躍を祈念いたします!!

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頚椎椎弓形成術
「頸髄の圧迫を除去するために脊柱管を拡大すること」
が手術の目的です。

ところが、せっかく除圧したスペースに術後血腫が貯留してしまうと
いわゆる術後急性硬膜外血腫となってしまいます。

処置が遅れると永続的な頸髄損傷に発展してしまいます。
よって早期発見が最重要事項となります。

実際は看護師さんに頼っている


血腫貯留を防ぐために
術後には硬膜外ドレーンを留置して帰室してくることが一般的です。

そして多くの場合、硬膜外血腫に一番早く気づくのは看護師さんです。
なぜか。
それは看護師さんがつきっきりで患者さんの状況を観察してくれているからです。

ドレーンの管理について、看護師さんから質問が多いのでまとめたいと思います。


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