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ハングマン骨折 hangman's fracture
は、C2椎体の骨折において2番めに頻度が高い骨折です。


ハングマンの由来


実際に原本を読んだことはないのですが、
1965年にSchneiderらがJournal of Neurosurgery 60で、
hanging=絞首刑 
後の損傷に外見上似ている、ということで
hangman's fractureと報告した、とのことです。

絞首刑、、、
すこし現時代的ではないというか、医療的言語ではありませんよね。

現在は、
骨折とあわせてC2-3関節面で転位をきたすため、
外傷性軸椎すべり
traumatic spondylolisthesis of the axis
という言い方が一般的になっています。

ハングマン骨折を評価するポイント


基本的に、ハングマン骨折は
過伸展によるC2関節峡部での骨折
です。
それに加えて、
前縦靭帯、後縦靭帯、C2/3椎間板などの損傷の程度によって
すべりや後弯変形を評価していきます。

Levine-Edwards分類
がひろく用いられています。
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Ⅱ、Ⅱa、Ⅲは骨折にC2/3椎間板損傷や靭帯損傷を伴うため
不安定性があり、骨の癒合が悪く、内固定が推奨されております。

なかなか簡単に決められない手術の方法


後方のinstrumentationの発展により
C2-3 後方固定が選択されることが多いかと思います。

しかし、骨折のgapや、椎弓根の大きさ、VAの走行によっては
C2 pedicle screwやpars screwの刺入が困難な場合もあります。
前方偏位が強かったり、外傷性の椎間板ヘルニアを呈して頚髄を圧迫していたり
また、C1やC3、4に骨傷を合併していることもしばしばあります。
そうなってくると治療の方法の判断に迷います。


①外固定
ハローベストなどでの厳重に。
期間はいつまでするか

②内固定
前方アプローチ
・C2/3前方固定 プレート? cage?
後方アプローチ
・C2/3の後方固定
・C2骨折をまたいでC1-3固定
・C3のみならず4、5まで延長するか
・C2の骨折部のみスクリュー固定するか
あるいは前方、後方併用

さまざまに考えなければならないです。

症例提示


先日経験した症例は10代後半の女性の交通外傷です。
C2-3椎間板損傷、PLL損傷を認め、
C2-3関節の軽度の亜脱臼および局所後弯を14°認めました。
Levine type Ⅱaです。

001


C2 pars interarticularsis screwおよびC3 pedicle screw
で後方整復固定術1椎間を行いました。
PSのトルクは十分だったので後療法はフィラデルフィアカラーで経過を見ています。

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ハローベストの合併症は決して低くはありませんので
自分としては、type Ⅱ、Ⅱa、Ⅲでは全身状態が許容されて、骨折の形態が固定可能ならば
積極的に内固定を行い、早期離床を目指すのがよいと思っています。

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