頚椎椎弓形成術用のインプラントについて
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はじめに
今回は、
後縦靭帯骨化症 (ossification of the posterior longitudinal ligament: OPLL)
による圧迫性頚髄症の頚椎椎弓形成術について記事にしたいと思います。
圧迫性頚髄症の手術のタイミング
圧迫性頚髄症に対しては、
投薬や安静加療などの保存加療で改善が得られず、症候がどんどん悪化していくような場合
に手術加療が選択されます。
OPLLにはK-lineが重要
OPLLにおいてはK-lineを参考に、前方アプローチと後方アプローチとを考慮すると思います。

頚椎椎弓形成術の選択について
頚椎椎弓形成術は後方アプローチの一つで、
・片開き法
・観音開き法
で椎弓を拡大形成して、頸髄の圧迫を除くものです。
それぞれの優劣に対する論文は数多くあります。
わたしは、結局手術の得意な人が得意な方法で行うのが一番かな、と思っております。
わたしはこれまでの修練施設での経験から、片開き法が馴染みです。
慶應義塾大学の平林先生の手技で、多くの脊椎外科医にmodifyされ、
日本のみならず海外でもスタンダードになっている手術手技です。
これまで、hydroxyapatite spacerを用いていましたが、
外側偏奇しているようなOPLLに対して常に心配がありました。
外側塊と挙上した椎弓の間にspacerをはめ込みますが、
HA spacerのツメによる内板のために、思ったほど拡大が得られないことがあるのです。
gutterやhingeを、より外側に設ける必要がありますが、
静脈叢の出血や、神経に対するheat injuryが心配です。
幸い大きなトラブルなく経過していますが、
そういう意味で、OPLLとくに片側に偏位している症例は、非常にストレスフルです。

なんとかできないかなと思っていました。
現在は、2013年9月から本邦で使用可能となった
Medtronicのcenterpiece™
というインプラントを使用しています。

チタンのプレート構造で、外側塊設置のツメが小さく、プレートは外側で椎弓と連続する構造なので
・HA spacerより、もっと外側の径で脊柱管の拡大が得られること
・スクリューでしっかり固定するので再狭窄やインプラントの脱転の心配が少ないこと
が特徴かと思います。
チタンとHAとで骨伝導についての賛否はあるかと思いますが、
いまのところOPLL外側偏奇型に対して使いやすい印象があります。
多少gutterが脊柱管内にあっても十分な脊柱管の拡大が得られるように思っています。

しかし、centerpiece™で一つの椎弓を拡大形成するのに、
スクリューを3本使用しなければならず(メーカーの推奨)、
仮にC3-6の4椎弓形成した場合に使用するスクリューは12本!!で、
胸腰椎の5椎間固定に相当するインプラント費用が発生してしまうのは
医療経済的にどうかと思うんです。。。
そんなこんなでHA spacerは骨質のよい症例にのみ使用しています。
骨質の悪い症例や外側偏位型のOPLLにはセンターピースを用いています。
しかし、スクリュードライバーの噛みが弱いこと、センターピースの把持力が弱いことに不満があります。
今後、片開きのインプラントに、ジンマーとグローバスが介入してくるようですね。
ジンマーのカタログを見せてもらいましたが、外側塊に横に2穴留めるので、展開が大きくなりそうです。
グローバスはセンターピースとほとんど代わり映えのないデザインですが、ブースで触らせてもらった印象では把持力がとても強い感じでした。
使用したら感想をレポートしたいと思います。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
@yotsuba_spineさんをフォロー

頚椎椎弓形成術は後方アプローチの一つで、
・片開き法
・観音開き法
で椎弓を拡大形成して、頸髄の圧迫を除くものです。
それぞれの優劣に対する論文は数多くあります。
わたしは、結局手術の得意な人が得意な方法で行うのが一番かな、と思っております。
わたしはこれまでの修練施設での経験から、片開き法が馴染みです。
慶應義塾大学の平林先生の手技で、多くの脊椎外科医にmodifyされ、
日本のみならず海外でもスタンダードになっている手術手技です。
OPLLの片開き法の懸念
これまで、hydroxyapatite spacerを用いていましたが、
外側偏奇しているようなOPLLに対して常に心配がありました。
外側塊と挙上した椎弓の間にspacerをはめ込みますが、
HA spacerのツメによる内板のために、思ったほど拡大が得られないことがあるのです。
gutterやhingeを、より外側に設ける必要がありますが、
静脈叢の出血や、神経に対するheat injuryが心配です。
幸い大きなトラブルなく経過していますが、
そういう意味で、OPLLとくに片側に偏位している症例は、非常にストレスフルです。

Medtronicのcenterpiece™
なんとかできないかなと思っていました。
現在は、2013年9月から本邦で使用可能となった
Medtronicのcenterpiece™
というインプラントを使用しています。

チタンのプレート構造で、外側塊設置のツメが小さく、プレートは外側で椎弓と連続する構造なので
・HA spacerより、もっと外側の径で脊柱管の拡大が得られること
・スクリューでしっかり固定するので再狭窄やインプラントの脱転の心配が少ないこと
が特徴かと思います。
チタンとHAとで骨伝導についての賛否はあるかと思いますが、
いまのところOPLL外側偏奇型に対して使いやすい印象があります。
多少gutterが脊柱管内にあっても十分な脊柱管の拡大が得られるように思っています。

しかし、centerpiece™で一つの椎弓を拡大形成するのに、
スクリューを3本使用しなければならず(メーカーの推奨)、
仮にC3-6の4椎弓形成した場合に使用するスクリューは12本!!で、
胸腰椎の5椎間固定に相当するインプラント費用が発生してしまうのは
医療経済的にどうかと思うんです。。。
2018.5.9追記
そんなこんなでHA spacerは骨質のよい症例にのみ使用しています。
骨質の悪い症例や外側偏位型のOPLLにはセンターピースを用いています。
しかし、スクリュードライバーの噛みが弱いこと、センターピースの把持力が弱いことに不満があります。
今後、片開きのインプラントに、ジンマーとグローバスが介入してくるようですね。
ジンマーのカタログを見せてもらいましたが、外側塊に横に2穴留めるので、展開が大きくなりそうです。
グローバスはセンターピースとほとんど代わり映えのないデザインですが、ブースで触らせてもらった印象では把持力がとても強い感じでした。
使用したら感想をレポートしたいと思います。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
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