椎体骨折の見逃しがなくならない理由?の考察
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なかなか改善しないという腰背部痛で受診されました。MRIを撮像すると、新規椎体骨折を認めました。

骨折の事実を患者さんに伝えると、
「前医ではレントゲンで骨は大丈夫、と言われたんですが」
とのことでした。
MRIをとったら、それは診断がつくだろう、と言われてしまいそうです。
けっして前医を軽んじての記事ではありません。
管理人のこれまでの痛い経験からの椎体骨折診療のポイントを述べたいと思います。
まず
「外傷のエピソードがないから、椎体骨折がない」
は誤りです。
患者さんは、外傷のような非日常のイベントはよく覚えておりますから
自発的に教えてくれます。
しかし、かがんで草むしりをしていたとか、洗濯物を干した、とか植木鉢を抱えた、などの行動は
日常の生活動作なので、ひとつひとつを細かく覚えていません。
しかし、そのような動作で骨折を発症してしまいます。
そして、症状。
「寝返りするのがつらい」
「起きて座るまでが大変」
「座ってしまえばいくらかまし」
などの言葉を聞き出します。
このような、いわゆる体動時の痛み、がもっとも大事な特徴です。
次に画像診断です。
医師として、判断が問われるところではないでしょうか。
①レントゲン
普通に立位2R、座位2R、あるいは痛いので臥位2R
これらは、それぞれ単独で用いると、診断をつけることはまず不可能です。
仮に骨折があったとしても新鮮な骨折なのか陳旧性の骨折なのか区別がつかないからです。
大事なことは、比較する、ということです。
具体的には
重力をかけた状態とかけない状態で比較します。
つまり臥位側面と立位(座位)側面
あるいは冠状面での側弯がある場合は、側面は役に立ちませんので、
正面臥位と立位(座位)正面との比較です。
あるは動態撮像という方法で比較することも診断率を高める方法です。
そうすることで骨折椎体内の不安定を評価することができて、診断をつけることができます。
しかし、それでもやはり診断率は40~60%程度なのです。
②CT
ヘリカルCTは水平面、矢状面、冠状面と細かく骨の条件を観察することができます。
椎体前壁や後壁の不整、椎体内のガスなどが診断の決め手になります。
レントゲンより細かい評価ができますが、
それでも診断率は70~80%前後くらいです。
よってCTでも診断がつかない場合があるのです。
③最終的にMRIとなりますが、
新鮮骨折はT1強調画像での低信号とT2脂肪抑制の高信号の所見を組み合わせることで、
もっとも安定した診断が可能です。
それでも95%前後で、100%でありません。
どうしても当日に診断がつかない時は、骨折の可能性を否定せず
外来フォローとして、時期をずらしていずれかの画像を再度撮像して評価しています。
結論として、100%診断できるものではない、という認識が必要なのです。
完璧な診断はムリ、ということです。
「骨折を認めなくても、いまの時点で診断ができないだけ。
他の検査を組み合わせたり、時期がたってから診断できる場合もある」
また撮像範囲に含まれていないケースもあります。
なので、骨折がありませんよ、と説明することは非常に勇気が要ります。
患者さんが体動に伴う痛みを訴えている場合は、
骨折があると思って慎重に対応すべきと考えます。
たとえ初診時に骨折の画像所見を得なくても、
骨折があると思って、フォローすることが重要なことだと思います。
そういう態度で診療していれば、骨折を見逃すリスクを抑えられると信じて診療しています。
あくまで管理人の痛い経験から、このようなことがなくなっていけばいいなと思っています。
「外傷のエピソードがないから、椎体骨折がない」
は誤りです。
患者さんは、外傷のような非日常のイベントはよく覚えておりますから
自発的に教えてくれます。
しかし、かがんで草むしりをしていたとか、洗濯物を干した、とか植木鉢を抱えた、などの行動は
日常の生活動作なので、ひとつひとつを細かく覚えていません。
しかし、そのような動作で骨折を発症してしまいます。
そして、症状。
「寝返りするのがつらい」
「起きて座るまでが大変」
「座ってしまえばいくらかまし」
などの言葉を聞き出します。
このような、いわゆる体動時の痛み、がもっとも大事な特徴です。
次に画像診断です。
医師として、判断が問われるところではないでしょうか。
①レントゲン
普通に立位2R、座位2R、あるいは痛いので臥位2R
これらは、それぞれ単独で用いると、診断をつけることはまず不可能です。
仮に骨折があったとしても新鮮な骨折なのか陳旧性の骨折なのか区別がつかないからです。
大事なことは、比較する、ということです。
具体的には
重力をかけた状態とかけない状態で比較します。
つまり臥位側面と立位(座位)側面
あるいは冠状面での側弯がある場合は、側面は役に立ちませんので、
正面臥位と立位(座位)正面との比較です。
あるは動態撮像という方法で比較することも診断率を高める方法です。
そうすることで骨折椎体内の不安定を評価することができて、診断をつけることができます。
しかし、それでもやはり診断率は40~60%程度なのです。
②CT
ヘリカルCTは水平面、矢状面、冠状面と細かく骨の条件を観察することができます。
椎体前壁や後壁の不整、椎体内のガスなどが診断の決め手になります。
レントゲンより細かい評価ができますが、
それでも診断率は70~80%前後くらいです。
よってCTでも診断がつかない場合があるのです。
③最終的にMRIとなりますが、
新鮮骨折はT1強調画像での低信号とT2脂肪抑制の高信号の所見を組み合わせることで、
もっとも安定した診断が可能です。
それでも95%前後で、100%でありません。
どうしても当日に診断がつかない時は、骨折の可能性を否定せず
外来フォローとして、時期をずらしていずれかの画像を再度撮像して評価しています。
結論として、100%診断できるものではない、という認識が必要なのです。
完璧な診断はムリ、ということです。
「骨折を認めなくても、いまの時点で診断ができないだけ。
他の検査を組み合わせたり、時期がたってから診断できる場合もある」
また撮像範囲に含まれていないケースもあります。
なので、骨折がありませんよ、と説明することは非常に勇気が要ります。
患者さんが体動に伴う痛みを訴えている場合は、
骨折があると思って慎重に対応すべきと考えます。
たとえ初診時に骨折の画像所見を得なくても、
骨折があると思って、フォローすることが重要なことだと思います。
そういう態度で診療していれば、骨折を見逃すリスクを抑えられると信じて診療しています。
あくまで管理人の痛い経験から、このようなことがなくなっていけばいいなと思っています。
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