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交通外傷による頚椎損傷で後側方固定術(PLF)を施行しました。

C5-6が癒合しており、
C6/7で椎間板がruptureし、前方が開大しています。
後方は圧縮力のため
C6の右外側塊から左の椎弓と外側塊の一部にかけて骨折していました。

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compression extension injury stage 3 (CES3)と判断しました。

骨折している右C6のlateral massを除いて
C4-5-6 lateral mass screwにC7-T1 pedicle screwでのPLFを施行いたしました。
2/3、3/4に関しては除圧も行いました。


C7-T1のpedicle screwの刺入の際に、
下位頚椎から上位胸椎は肩が邪魔して、側面透視での視認は困難です
強直性脊椎病変を伴う頚椎損傷の診断)。

術中に2つの認識の甘さから怖い思いをしました。
反省を踏まえて記事にします。

認識の甘さ、その1


今回はStrykerのC-armナビがあったので、あまり不安はなかったのです。
術前のCTデータを元に、術中registrationを行うのですが、
術前のCT画像は、C6/7の前方開大のため過伸展姿位となっております。

体位で整復したため、誤差が大きいことは予想されました。

やはり、registrationは術前のものとぜんぜん合いません。

「やっぱりそうだよね、じゃあナビを回そう」

術前の体位でC-armがきちんと回転することを確かめておいたので、
なんの心配もなく、ナビを回すことができました。

ところが、術中に撮像したナビ画像の粗いこと粗いこと、、、
こんなに粗いの?
完全に認識が甘かったです。

刺入点すら肉眼所見と一致しているか、判定しにくい状況です。
終板に平行かどうか、うっすらとわかるような、やっぱりわかならいような、、、

ちょっとこのナビを頼りにPSは打ちづらいな、ということになりました。

認識の甘さ、その2


通常ナビなしでも、C7、T1のpedicle screwは、
正面透視で終板に平行にそろえて、椎弓根を捉えることで
比較的容易に打てます。


そしてこの認識も甘いものでした。。。

この症例は、胸椎の後弯が強く、そして頚椎を過伸展からすこし屈曲位にしているため、
余計に、全体に猫背になっています。
正面透視をいれてC7とT1の終板に揃えようとするのですが
下の管球がベッドに干渉してどうしても合わせることができません。

C-armが回転できるspaceがあれば、かんたんに終板をあわせられるだろう、と
思っていたのです。


結局・・・


正面でみたり斜位で見たりcranialに傾けたり元に戻したり、いろいろな角度で、
プローベを少し挿入しては確認、
サウンダーも少し挿入しては確認、
タップを少し挿入しては確認、
スクリューを少し挿入しては確認
各操作の局面局面で確認しながら
何回も透視を出し入れしながら刺入しました。

疲労しました。。。
被爆、どれだけしたんだろう。。。

解決策①


いま思えば、、、
registrationは体位で動いてしまうC6椎体上位は全部無視して、
C7,T1, T2椎体のみで行えば術前のものとずれなかったはずです。
そうすれば、ナビでPSを打つのに問題なかったかもしれません。
C4、5、6のlateral mass screwは側面透視で十分視認できたわけですから。。。

解決策②


そして、手術が始まる前にC-armナビが回転することだけ確認するのでなく、
万が一回らなかったときに、適切な角度で透視が入るかも確認しておくべきでした。
入らないなら対策を考えるべきでした。

結果的には固定できましたが、、、
なにかよい工夫があれば是非、ご教示お願い致します(汗)。

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