XLIFの後腹膜腔アプローチの理解のために。後傍腎腔?
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先日、L3/4の椎間板不安定症による両椎間孔狭窄に対してXLIF1椎間を施行いたしました。
この手技は、後腹膜腔からアプローチします参照。
後腹膜腔の解剖をどれだけ理解していますか?
実は、管理人はあんまりわかっていなかったことがわかりました(汗)。
後腹膜はスペース
まず、後腹膜とはスペースのことです。
まるで後に膜があるかのように捉えてしまいますね。
定義では横筋筋膜と壁側腹膜との間に位置するスペースとされます。
そのスペースに、膵臓、十二指腸、上行結腸、下行結腸、腎、大血管が収まっています。
前方アプローチで結腸が見えることがあっても
それは、後腹膜腔にあるからなのですね。
不慣れなのでガクガク慌ててしまいます。
後腹膜の二つの腔
後腹膜は二つの腔を理解する必要があります。
①筋膜で囲まれた腔
と
②筋膜間腔
です。
言葉が似ていてなんだか禅問答みたいになってしまったのは管理人だけでしょうか?
筋膜について
まず筋膜ですが、
腎筋膜は国試で馴染みの深いGerota筋膜です。
っと思っていましたが、
・1883年にZuckerkandl先生が腎の後ろに膜構造があるぞ、と報告。
・1895年にGerota先生が後方だけでなくて前にも腹膜と違う膜があるぞ、と報告。
結果、腎筋膜には前筋膜と後筋膜があり、
広義にはGerota筋膜=前+後
狭義にはGerota筋膜=前、Zuckerkandl筋膜=後
ということです。
そして、
前傍腎腔=壁側腹膜ー腎筋膜前葉(G筋膜)の間のスペース
腎周囲腔=腎筋膜(G+Z筋膜)ー腎被膜の間のスペース
後傍腎腔=腎筋膜後葉(Z筋膜)ー腹横筋膜の間のスペース
ということです。
筋膜間腔について
このような筋膜は言葉では、一層の膜のように捉えてしまいますが、
実は層状構造のようです。
発生学的にいくつかの筋膜が癒合して形成される層状構造で
筋膜自体も内部に潜在的な腔をもっています。
そして役割をもっています。
それは、浸出液やガスが急に貯留してしまうような場合に
潜在的に拡張して除圧のための経路となるそうです。
損傷がこわい尿管について
こういった前方アプローチで損傷がこわい尿管についてです。
腎門部レベルでは腎筋膜前葉(G筋膜)の筋膜間腔に存在し、
途中腎筋膜前葉(G筋膜)と後葉(Z筋膜)は尿管周囲で癒合して、
腎下部レベルでは腎筋膜後葉(Z筋膜)の筋膜間腔に存在していることが多いそうです。
尾側にいくにつれ、筋膜構造としては後葉が優位になるからかと考察されていました。
XLIFは後傍腎腔からのアプローチ
ということで、、、
XLIFは後腹膜腔アプローチ
とひとくちに言いますが、
横筋筋膜下、腎筋膜後葉(Z筋膜)の間の後傍腎腔の間
の脂肪組織を指で鈍的剥離して、
腰方形筋、大腰筋へとアプローチしていく
手技になるんですね。
だからOLIFよりは尿管損傷のリスクが少ないように思えます。
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