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それでは、脊髄梗塞についてまとめます。
今回は、病型についてです。

脊髄梗塞の病型


脊髄梗塞の病型は
・前脊髄動脈症候群;anterior spinal artery syndrome
・後脊髄動脈症候群;posterior spinal artery syndrome 
・中心性梗塞;central infarction 
・横断性梗塞;transverse infarction
・Brown-Sequard syndrome
に分類されます。

初発症状は痛み


痛みが初発症状であることが多いです。
・頸髄であれば頚部痛、
・上位胸髄であれば背部痛、
・下位胸髄であれば腰痛、臀部痛
などを急激発症で訴えます。

正確な機序は明らかではありません。
・神経根や後根の虚血で、デルマトームに一致した神経痛となる。
・前根や前角の虚血ではマイオトームの分布に準じた筋収縮に起因する痛みが起こる。
などと考えられています。

正常解剖・髄節と索路


まず脊髄の正常解剖のスライドです。
髄節レベルで考えるべき構造は、
前根、前角、後根、後角
です。
つまり分節高位の神経細胞成分とその線維です。
索路レベルで考えるべき構造は、
皮質脊髄路、脊髄視床路、後索
です。
すなわち、下位に向かう軸索成分です。
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この理解のもと、動脈分布に沿って、閉塞すると出現する症状を考慮していきます。
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前脊髄動脈症候群;anterior spinal artery syndrome

 
胸髄で最多(>60%)。
前脊髄動脈に支配される脊髄前方約2/3領域の梗塞です。
すなわち、前索、側索、脊髄前角の脱落症状をきたします。
前角の障害により、弛緩性麻痺、DTR減弱を呈します。
・急激に発症する対麻痺、四肢麻痺
・障害レベル以下の解離性感覚障害(温痛覚が障害されるが、深部覚、触覚は保たれる)
・錐体路障害
・膀胱直腸障害
が特徴です。

後脊髄動脈症候群


後角、後索の脱落症状を呈します。
病変レベル以下の深部感覚障害(後索障害)、病変髄節レベルの全感覚脱失(広角障害)が中核です。
前脊髄動脈と同様に急激な発症をとります。
病変が前方に広がって皮質脊髄路を障害すると様々な運動障害を来すようになります。
膀胱直腸障害も出現します。

注意が必要なのは、
側索(メインは外側皮質脊髄路)は前脊髄動脈だけでなく、後脊髄動脈からの血流支配も受ける
ということです。
よって側索障害は前脊髄動脈、後脊髄動脈のいずれが詰まっても出現する可能性があります。
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Brown-Sequard syndrome


左右どちらか半分の脊髄の障害です。
同側の障害部位以下の弛緩性麻痺と、
反対側の脊髄視床路の感覚障害を呈します。
通常は後索の感覚は保たれております。
Sulcocommissural arteryの閉塞によるとされます。
スライドでは中心溝動脈が左右に分枝していますが
管理人が左右対称に作成したからであって
実際は分節各々で交互に左右に血流しているとされます。
よってsulcocomissural arteryの閉塞で、半側障害が出現することがあります。
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患者さんにとってもっとも重要なことなんですが、
正直、
診断できたって、治せるのか?
と言われてしまえばそれまでです。

一刻でも早く治療法が確立されることを望みます。