より安全な脊椎手術を目指して。術中神経モニタリングの活用。
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脊椎手術を受けるにあたり、患者さんが一番心配されることは
術後に手足が動かなくなるのではないか?
術後に、車いすになってしまうのではないか?
です。
わたしたち脊椎外科医の切なる願いは、
患者さんの生活の質を改善させたい
社会生活ができるようにサポートしたい
ということです。
だから、
絶対に神経症状を改善させてみせる!
という強い意気込みで手術を行っていることと思います。
しかし不幸にして、想定外に麻痺を生じてしまうことがあることも事実です。
たとえば、
・非常に高度な脊柱変形の矯正手術
・脊髄にできた腫瘍を摘出する手術
・出血した血管の奇形を取り除いたり、潰したりする手術
など、、、
これまでは、術者の経験、というか、勘というか、感覚といったところに頼っていることも有りました。
しかし、それでは一部のすぐれた術者、いわゆる神の手をもつ術者でないと手術できません。
安全性を一般的なものにするべく、さまざまな手術支援システムが開発、改良されております。
神経モニタリングはそのひとつです。
運動神経のチェックには、
経頭蓋骨に脳を電気刺激して、筋電図を調べることで、筋力の低下がないかチェックします。
専門的には
MEP;motor evoked potential=運動誘発電位
といいます。
感覚に対しての反応は、
手足の末梢神経を直接刺激して、
その伝わってくる反応を脳で感知して、術中の低下がないかを調べます。
こちらは
SEP;somatosensory evoked potential=体性感覚誘発電位
といいます。
潜時により短潜時(<50msec)、中潜時(50-100msec)、長潜時(100msec>)に分けられます。
脊髄機能モニタリングには短潜時(short-latency SEP:SSEP)が用いられます。
他にも脊髄誘発電位といって
頭蓋刺激や脊髄刺激、あるいは末梢神経を刺激して
伝わってくる様子を脊髄で拾い上げたりすることも可能です。
あくまでモニターなので、麻痺を完全に防ぐことはできないところもあります。
これが限界です。
しかし、途中でアラームがなった場合、
手術の操作を、より慎重に行う
操作をいったん中断して、脊髄を保護する
といった判断が可能になります。
当院には日本光電の神経モニタリング装置が入っています。
ただ単に、モニターがあればよいというわけではありません。
患者さんが深く深く麻酔で眠っていてしまってはモニターできません。
麻酔の種類や深度の調整が必要です。
また、他のモニターと干渉しないように
置く場所やコードのまとめ方の工夫をしたり、
事前に評価する筋を話しあったり
麻酔科医や臨床検査技師との協力や術前の綿密な計画、さまざまなノウハウの蓄積が重要です。
当院のモニタリングの精度はまだまだです。
日本脊椎脊髄病学会では神経モニタリングのおかげで非常に助かったという報告が複数あり、
今後の普及を目指して、その地域でのモニタリングのトップの施設に研修に行くプログラムがあります。
わたしたちも今度、臨床検査技師とともに研修に行く機会を得ました。
わたしたちの施設でもどんどん治療が進歩し、
安心して地域の患者さんが加療を受けられるように
スタッフともども日々研鑽を積んでいきたいと思います。
研修の成果は、また後日レポート致しますね!!
たとえば、
・非常に高度な脊柱変形の矯正手術
・脊髄にできた腫瘍を摘出する手術
・出血した血管の奇形を取り除いたり、潰したりする手術
など、、、
これまでは、術者の経験、というか、勘というか、感覚といったところに頼っていることも有りました。
しかし、それでは一部のすぐれた術者、いわゆる神の手をもつ術者でないと手術できません。
安全性を一般的なものにするべく、さまざまな手術支援システムが開発、改良されております。
神経モニタリングはそのひとつです。

MEP・運動神経のチェック
運動神経のチェックには、
経頭蓋骨に脳を電気刺激して、筋電図を調べることで、筋力の低下がないかチェックします。
専門的には
MEP;motor evoked potential=運動誘発電位
といいます。
SEP・感覚神経のチェック
感覚に対しての反応は、
手足の末梢神経を直接刺激して、
その伝わってくる反応を脳で感知して、術中の低下がないかを調べます。
こちらは
SEP;somatosensory evoked potential=体性感覚誘発電位
といいます。
潜時により短潜時(<50msec)、中潜時(50-100msec)、長潜時(100msec>)に分けられます。
脊髄機能モニタリングには短潜時(short-latency SEP:SSEP)が用いられます。
脊髄誘発電位
他にも脊髄誘発電位といって
頭蓋刺激や脊髄刺激、あるいは末梢神経を刺激して
伝わってくる様子を脊髄で拾い上げたりすることも可能です。
モニタリングの限界と利点
あくまでモニターなので、麻痺を完全に防ぐことはできないところもあります。
これが限界です。
しかし、途中でアラームがなった場合、
手術の操作を、より慎重に行う
操作をいったん中断して、脊髄を保護する
といった判断が可能になります。
よりよくモニタリングするために必要なこと
当院には日本光電の神経モニタリング装置が入っています。
ただ単に、モニターがあればよいというわけではありません。
患者さんが深く深く麻酔で眠っていてしまってはモニターできません。
麻酔の種類や深度の調整が必要です。
また、他のモニターと干渉しないように
置く場所やコードのまとめ方の工夫をしたり、
事前に評価する筋を話しあったり
麻酔科医や臨床検査技師との協力や術前の綿密な計画、さまざまなノウハウの蓄積が重要です。
当院のモニタリングの精度はまだまだです。
日本脊椎脊髄病学会では神経モニタリングのおかげで非常に助かったという報告が複数あり、
今後の普及を目指して、その地域でのモニタリングのトップの施設に研修に行くプログラムがあります。
わたしたちも今度、臨床検査技師とともに研修に行く機会を得ました。
わたしたちの施設でもどんどん治療が進歩し、
安心して地域の患者さんが加療を受けられるように
スタッフともども日々研鑽を積んでいきたいと思います。
研修の成果は、また後日レポート致しますね!!
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