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30代女性の転落外傷による胸腰椎損傷の患者です。

骨折の状態


L1椎体は前壁、後壁の損傷があり、
CTでは前壁は約40%の圧潰があり、
後壁の骨片は脊柱管の約60%を占拠しております。
axialでは椎体は約40%くらいの粉砕で、
coronalでは縦に真っ二つに骨折
L1/2の終板は保たれております。
L1椎弓から右下関節突起まで骨折線があります。
ほか、T12棘突起、T12-L1棘間靭帯損傷前縦靭帯損傷、後縦靭帯損傷あり、
脊柱管内に軽度硬膜外血腫を認めます。

診断


Denisでいうところのthree column損傷で、Chance fracture
金田で椎体破裂骨折+屈曲伸延損傷の合併
AOでの椎体骨折評価では、AO 3-2 burst+split injury
と診断しました。

受傷直後は両膝下が全周性にしびれておりましたが、
安静で大部分が改善しております。

手術方法は


①直接神経の除圧を行うかどうか
②fusionを行うかどうか
なんですが、

わたしは、MISt派なので、

・Instrumentationによる制動
・アライメントの矯正
・圧潰椎体の整復と、損傷はありますが、ligamentotaxisによる間接除圧
・骨のリモデリング効果

に期待して、
MIStでのone above - one bellowでの制動固定術
pedicle screw fixation without fusion
を行いました。

Instrumentationの選択は


以前、Medtronic社のSAS: sagittal alignment screwを用いると
低侵襲法での矯正固定が可能
とpostしました。
さらに、矯正が可能なように、Trauma Instrumentation Setというのが登場しています。

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側面でXpで確認しながら、
圧潰した椎体に対して後壁を保ちながら
lordosisを形成できるようにpedicle screwに対してcompression forceをたてつつ
後壁に対してはdistraction forceをかけて、伸延させることができます。
そしてアライメントの矯正ならびに椎体の整復が可能です。

この操作を低侵襲法で行うことができるのが非常にすぐれております。

今回は初めての使用だったので、
正中切開、胸腰筋膜下に、筋間でアプローチしましたが
印象としては、手技書パンフレットにあるように経皮的手技で可能だろうと判断しました。

MIStのメリットは後方筋群の温存にあります。
今回も筋群はほぼ温存することができて、出血量も微々たるものでした。

MIStの課題


Motion segmentを温存することで、
骨折椎体が癒合したのちにinstrumentを抜去することが目標なんですが、
欠点があります。

それは損傷した終板の椎間板にガスが生じて椎間板の機能不全になっている場合があり、
その状態で抜釘すると、椎体が治っていたとしても矯正損失が生じるリスクがあることです。

やはりその点は、fusionをgoalにするべきなのかどうか、論議を重ねていく必要があると思います。

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