カテゴリ:
スポンサードリンク
圧迫性脊髄症についてまとめました。
とくに頚椎症性脊髄症に関しての話になります。

病態


脊椎は老化や反復する負荷によって脊椎症を呈します。
脊椎症とは、椎間板の膨隆や椎間関節の変形・骨棘の形成、黄色靭帯の肥厚などの
変化が生じた状態です。
脊椎症をきたすと神経の通り道である脊柱管や椎間孔が狭くなっていきます。
狭窄によって脊髄や脊髄の枝の脊髄神経が圧迫されると症状を呈します。
頚椎症の場合では、
頸髄の圧迫症状を頚椎症性脊髄症、
脊髄神経の圧迫症状を頚椎症性神経根症
といいます。
頚椎症は無症状の方でも、60歳以上であればMRIで実に85%以上認めます。
そのうち8%では頸髄に圧迫所見があったと報告されており、
圧迫で必ずしも全例に脊髄症や神経根症を呈するわけではありません。

症状


頚髄症は手足のしびれや痛み、運動障害をきたします。
具体的には日本整形外科学会が作成した頚髄症治療判定基準をご参照ください。
神経根症は圧迫で障害されている神経の領域に沿った痛みやしびれを呈します。
通常は片側の症状を呈します。
胸髄症では下肢症状のみで、上肢の症状を呈することはありません。
001


脊髄は脳から連続する中枢神経です。
不可逆の障害を受けた場合は治癒することはありません。
よって症状が悪化していく場合は不可逆の状態になる手前で神経を保護しなければなりません。
頚髄症治療判定基準での点数が一桁になると一部介護が必要になります。
すなわち、その一歩手前の状態で手術加療を行うことが望ましいと考えます。

内服加療で症状が一進一退を繰り返しているうちは積極的な手術加療は不要ですが、
明らかに増悪していることを自覚しているならば手術に踏み切った方がよいでしょう。

脊髄が不可逆な変化を呈してしまえば、
手術加療を行っても脊髄の回復は見込めないからです。

・発育性脊柱管狭窄症
・全周性の脊髄圧迫所見
・圧迫高位の局所後弯
・局所すべり
・可動の不安定性
などを認める場合は進行性に増悪していく可能性が高いです。
002
003
004
005


治療法


保存的加療
基本的には内服加療を行います。
圧迫による神経の血流の低下が主な原因なので、
血流改善剤を内服してもらい、症状の改善を目指します。
痛みに応じて鎮痛剤を適宜内服します。
その他にブロック療法やリハビリ療法、物理療法などがあります。
一般的に初期を過ぎた脊髄症は保存加療で改善が困難です。
約半数は症状の改善が得られず、約1/3は症状が進行してしまいます。

外科的加療
脊椎症は加齢性変化なので保存的加療にはいつか限界がきます。
加療を継続しても、症状が全く改善しない場合や増悪していく場合は、手術加療を行います。
圧迫の原因を手術で除去するのです。
前方要素の圧迫が主座であれば前方アプローチを選択します。
多椎間病変や発育性脊柱管狭窄症を呈していれば後方アプローチを選択します。
椎間板や椎間関節の不安定性が強いならば、
筋層を剥離し骨を削ることで不安定状態が更に悪化してしまうので、
金具で固定して補強する除圧固定手術を行います。

手術治療の方法は個々の病態により判断されます。

まとめ


以上、圧迫性脊髄症についてまとめました。