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胸腰椎損傷のついての考え方、治療についてまとめました。
不幸にして背骨を骨折してしまった時に参考になればと思います。

病態


外傷により脊椎が骨折している状態です。
脊椎は体幹の支持をする役割と、背骨を通る脊髄や神経を保護する役割があります。
骨折してしまうと体幹を支えることができないのみならず神経まで損傷してしまいます。

骨折の程度によって、
・体幹の支持がまったく期待できない場合と、
・コルセットで外から固定することでなんとか支持できる場合
とがあります。

また、神経の症状によって、
・受傷直後から脊髄や神経が完全に損傷してしまっている場合と、
・神経症状が出現しているが、まだいくらか神経の機能が残っている場合(不完全な損傷)、
・なんとか神経は損傷を免れて、機能が温存されている場合
があります。

それぞれの状態で個々に治療の方法を考慮する必要があります。

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症状


骨折部から周囲に放散する激しい痛みを生じます。
基本的に体動が困難な痛みが生じます。

さらに神経の損傷が加わると、
損傷の程度によってしびれや痛み、筋力低下、麻痺が生じます。
排尿や排泄の調整が困難あるいはできなくなることもあります。

完全な損傷をきたすと
感覚がまったくわからない、
まったく動かない、
排泄の感覚が完全にわからない
などの症状が出現し、機能予後は極めて不良です。

治療法


個々の骨折の病態を考慮して判断されます。
背骨の支えを
・前方の支柱
・中間の支柱
・後方の支柱
にわけて、複数の支柱が損傷しているならば不安定な骨折と判断します。
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安定骨折でも骨粗鬆症などがあると時間の経過で骨片が飛び出してきて、
不安定な状態になることもあるので注意が必要です。

・神経症状が出現している場合や、
・椎体だけでなく関節や棘突起の損傷がある場合、
・さらに後方を支持している靭帯組織が損傷している場合
などは手術加療が必要なことがほとんどです。
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・椎体の損傷が2/3以上を超えるくらい激しい場合、
・椎体がパズルのピースのように半分以上バラバラになっている場合、
・椎体の潰れのせいで姿勢の後弯変化が10°を超えるような場合
は骨折椎体そのものを置換することもあります。
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保存的加療
損傷が軽度から中等度であればコルセット加療による外固定を行います。
場合によっては体幹のギプスを作成します。

外科的加療
損傷が中等から重度であれば手術による脊椎固定術が必要です。
コルセットを外固定と呼ぶことに対して手術による脊椎固定を内固定といいます。
後方からアプローチしてスクリューやフックなどの金具で固定したり、
自分自身の骨を移植して骨折部位を癒合させたり、
破損した椎体内に人工骨をいれて整復したりします。
前方からアプローチして破壊された椎体そのものを
人工の骨や金属のケージ、自分の骨盤の骨などに代替する方法もあります。

まとめ


以上、胸腰椎損傷についてまとめました。
手術治療の方法は個々の病態により判断されますのでご了承ください。