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腰椎の手術治療のひとつ、
顕微鏡下腰椎椎間板ヘルニア切除術についてまとめました。
いわゆる顕微鏡下Love法、Micro-Loveなどと呼ばれます。

腰椎椎間板ヘルニアを罹患している方は非常に多いですが、
80%以上は保存的加療で改善しますので、
安易に手術加療を選択せず、十分に加療を行ってみることが大切です。

                       

手術の目的


腰椎椎間板ヘルニアのため神経が圧迫されており、
腰痛や下肢のしびれ、痛み、筋力低下などで
仕事や日常生活が困難となっております。

保存加療によって症状の改善を試みるのですが、
どうしても改善が望めない場合に手術加療を行います。

顕微鏡下腰椎椎間板ヘルニア切除術では、
脊柱管の背中側の屋根にあたる椎弓と呼ばれる骨の一部分を削って脊柱管内にアプローチし、
圧迫を受けている神経を避けて、脱失している椎間板ヘルニアを切除します。
ヘルニアを切除することによって、神経の圧迫が解除されます。

顕微鏡下に行うことで安全性を高めることができます。
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手術の流れ


1. 全身麻酔で眠ってもらいます。
2. その後、スタッフで体の向きを腹ばいに変更します。
3. 必要な分の皮膚切開を行い、椎弓の一部を切除して、神経を圧迫している椎間板ヘルニアを切除します。
4. 神経の圧迫が解除されたことを確認して除圧手術は終了です。手術時間は、約60分程度の見込みです。
5. 閉創し、体の向きを最初のように仰向けにして麻酔から目覚めてもらいます。

顕微鏡下手術のメリット


術野が拡大されるため、神経損傷のリスクを最小限に抑えることができます。
肉眼でとらえにくいレベルでの出血まで丁寧に処置できるため、
出血量を最低限に抑えることができます。


デメリット


肉眼の手術に対する顕微鏡下手術のデメリットは考えられません。

内視鏡手術と比較した場合、
傷の大きさは、内視鏡手術では約1cmに対して顕微鏡下手術では3cm程度必要です。
ただし、その傷の大きさで術後経過に差は生じません。

手術の合併症として、
硬膜損傷、神経損傷、感染症、出血、術後血腫などが約1%程度にあります。
一過性に感覚や運動の障害を来すことがあります。
深部静脈血栓や心・脳血管の血栓などは致命的になりえます。

長期的な予後


術後であろうとなかろうと、加齢性変化をきたします。
加齢性変化は生理現象であり、仕方のないことです。
腰椎に加齢現象や長期的な負荷がかかることにより、術後も脊椎は変形し続けます。
手術では骨を削り、椎間板を切除しておりますので、
その部位の椎間板ヘルニアの再発や、
すべり症が進行する場合があります。
その際は固定術などの追加が必要になることがあります。

手術治療の流れ


持病や内服薬の種類によって術前の入院期間が異なります。

通常は手術の前日に入院です。
術後10日〜2週間の入院期間が目安です。

神経障害が強く支障がある場合はリハビリが必要です。
積極的なリハビリ加療を行うためにリハビリ病院への転院調整を行います。

術後は腰椎を保護するために
弾性コルセットや半硬性コルセットを約1~2ヵ月程度装着します。

・手術前日   術前の準備
・手術当日   手術 
・術後1日   食事開始 コルセット下にベッド離床開始
・術後2日   リハビリ開始
・術後10日〜14日   自宅退院あるいはリハビリ病院転院
・術後4週あるいはリハビリ病院退院後   外来受診
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まとめ


以上腰椎椎間板ヘルニアにたいする
顕微鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術についてまとめました。
一般的な予定です。個人差があることをご了承ください。