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頚椎症の診断で手術症例の紹介を頂きました。

約3ヶ月強の内服加療期間を経ても症状が改善しないため、
手術の適応は如何がでしょうか、ということでした。

病歴


比較的長い期間の両手1-5指、足底のしびれの自覚と
3ヶ月内服しても改善しない
左肩甲骨背部の痛み、前腕尺側から4指、5指にかけての痛みでした。

画像所見


C5/6のspondylosisのため5/6椎間に可動性はほとんどなく、
C4/5での椎間板変性、椎間板高減少を伴う膨隆に、後方からの黄色靭帯の肥厚があります。

C6/7では軽度狭窄をきたしており
C7/T1で関節のOAが強く、若干すべりを伴っておりました。

左C7/T1椎間孔にT1上関節突起の肥厚か、黄色靭帯の石灰化があり
椎間孔狭窄を呈しております。

診断と治療


診察所見と電気生理から肘部管症候群ではなく、C8のradicular painと判断しました。
さらに管理人の外来にて、リリカを増量しながら経過を見たのですが、改善に至らず
やはり手術を行うこととなりました。

C4/5のCSMに、C8根のradiculopathyの合併と判断し、
後方から脊柱管拡大とforaminotomyを行いました。

後方foraminotomyについて


後方のforaminotomyは、前方の除圧固定と比較して臨床成績は同等ともいわれますが
長期的な予後では、再発や再手術が多いとの意見もあります。
つまり、肯定派、否定派あるわけです。

しかしC8根になるとC7/T1を前方からアプローチできる症例はほとんどありませんので
後方除圧を考えると思います(後方固定までは単純には考えませんよね)。

椎弓形成について


つぎに脊柱管狭窄や頸髄の圧迫病変を合併している場合、
脊柱管の拡大方法として
観音開き法と片開き法の椎弓形成があります。

foraminotomyを観音開き法で行うと、スペーサーの台座が減じてしまい、難しいと思います。

foraminotomyの手順


管理人のforaminotomyの手順としては、
今回のC7/T1を例に取ると
①C7は左gutterに右hingeの椎弓形成
②T1は頭側椎弓を部分切除し、黄色靭帯のT1付着部を露出
③T1の左の椎弓根内側上縁を確認
④黄色靭帯をT1の上関節突起付着部まで追う
⑤上関節突起の一部と黄色靱帯と一緒に切除
⑥椎弓根内側縁、上縁が面一になるようにケリソンでトリミング
⑦マイクロ神経剥離子で除圧を確認

現在、左手4、5指にしびれは残っていますが
肩甲背部の痛み、前腕尺側の痛みが消失して経過良好です。

まとめ


椎弓形成の際にforaminotomyを追加することができる
これが片開き式椎弓形成の利点であると思います。