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脊椎骨折の手術治療のひとつである
低侵襲法による脊椎後側方制動術についてまとめました。
“MISt;minimally invasive spinal stabilization”ととも呼ばれる手技です。

手術の目的


椎体骨折の程度が悪いと、じぶんの背骨で体重を支えることができないばかりではなく、
折れた骨が背骨の中を通る神経に食い込んで、

・しびれや痛み、
・麻痺、
・排泄の調整ができなくなる膀胱直腸障害
などの神経障害を引き起こしてしまいます。

よって、

1)できるかぎり骨折して潰れてしまった椎体の整復を行って、
2)さらに椎体がばらばらにならないように安定化させる

ことが手術の目的になります。

当科では低侵襲法で行うことを前提とします。
もし困難な場合は、従来通りの広範切開と骨移植による後側方固定術を行います。

手術の流れ


1. 全身麻酔で眠ってもらいます。
2. その後、スタッフで腹ばいに体の向きを変更します。
3. 必要な分の皮膚切開を行い、骨折した椎体を挟み込むように、
骨折していない上下の椎体にスクリューを挿入します。
スクリューの本数や、スクリューの挿入の方法は骨折の程度で個々に判断されます。
4. それぞれのスクリューをロッドで締結して安定化を得ることができれば、固定は終了です。
5. 閉創し、仰向けに向きを変更して麻酔から目覚めてもらいます。
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低侵襲法のメリット


背中の筋肉のダメージが最低限です。
→出血を抑えることができます。

脊柱管内の神経には触れません。
→神経障害のリスクを抑えることができます。

デメリット


神経に直接触れないので、骨片による神経の食い込みが解除できない場合があります。
→その際は手術を追加して、直接神経の圧迫をとりのぞきます。

骨を削らないので、場合によっては姿勢の整復や矯正が不十分になることがあります。
→神経に悪影響が出るようなら追加の手術が必要になることがあります。

スクリュー挿入の際に、腹腔内の臓器や血管に触れないよう慎重な操作が必要になります。

手術治療の流れ


術前の神経の障害の程度で入院期間が異なります。
神経障害が生活に支障ない程度であれば術後2週間の入院期間が目安です。

神経障害が強く支障がある場合はリハビリが必要です。
積極的なリハビリ加療を行うためにリハビリ病院への転院調整を行います。

手術前日  術前の準備
手術当日  手術 
術後1日  食事開始 ベッド離床
術後2日  リハビリ開始
術後14日  自宅退院あるいはリハビリ病院転院。
術後4週 あるいはリハビリ病院退院後 外来受診
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まとめ


以上、低侵襲法による脊椎後側方制動術についてまとめました。
一般的な予定です。個人差があることをご了承ください。