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はじめに


本日の手術は黄色靭帯骨化症手術でした。

決して得意ではありません。
いえ、むしろ不得意で、できるならやりたくないです(笑)

なぜか。
なにが嫌なのか。

それは骨化靭帯が完全に硬膜と一体化してしまっていることがあるからです。

ただ、黄色靭帯骨化症もいろいろで、
大きさのわりに硬膜からつるりと取れてしまい、
事無きを得て手術があっさり終わることもあります。

しかし、できればやりたくない、そういう黄色靭帯骨化症もいます。

本日の手術がまさにそのタイプでした。


術中の所見


マイクロ顕微鏡で骨化靭帯をうすく削って、
硬膜との癒着部をマイクロ剥離子で剥離していきましたが
もっとも骨化の強い部分と硬膜の境界がどうしても見つかりません。

上関節突起をさらに削って、一部椎弓根にはいるまで削り、正常の硬膜面を露出し
再度トライしましたが、やぱり境界がありません。

術前に予想はしておりましたが、やはり嫌なものです。

手術の工夫


その時はどうしているかというと、
①硬膜は欠損していないものと信じて、
もうすこし鋭な剥離子で膜を2枚におろしていくようなイメージで
剥離していきます。

ところが、やっぱり硬膜がありませんでした。

その次はどうするかというと
②硬膜は欠損、骨化靭帯と同化しているものと考え
くも膜の温存に努めます。

くも膜を損傷しなければ髄液漏はきたしません。

マイクロ用丸型メスは有用


その際に役立つ剥離子は、これです。

マイクロ用丸型メス
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昨日、オペ室に眠るオクラ入り手術道具で見つけました。
なんでも以前耳鼻科が鼓室形成に使用していて、医師の退職でお蔵入りしているそうです。

当科の手術で使わせてもらうことにしました。

これでくも膜をレトラクトしつつ骨化靭帯面を剥離していく。


・・・
なんていいましたが、やっぱり途中でくも膜を損傷してしまいました(涙)

あともうすこしだったのですが、、、

まとめ


ほんとうに、あとすこしでした。

マイクロ用丸型メスは便利な道具と思いました。
結果的には髄液が出ましたが、、、(汗)

皆さんは、どのように工夫されておりますか?

黄色靭帯骨化症手術での硬膜損傷を防ぐ有効な手立てがあれば
ぜひご教示ください。


ちなみに2枚におろして残った硬膜と欠損した硬膜縁とを
うまく寄せることができて、VCSアナストクリップで縫合し
ネオベールとベリプラストで硬膜形成し、髄液漏を来すことなく経過しています。

しかし、髄液漏が起こりやしないか、ストレスなので
やはり術中硬膜くも膜損傷はおこしたくありません。

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