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はじめに


脊椎手術の体位は後方アプローチであるので、基本的に腹臥位です。
ときに前方アプローチで側臥位となります。

仰臥位で手術するときは、頚椎の前方除圧固定術くらいです。

よって術中の体位トラブルのリスクが高いといわざるを得ません。

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当然、どの施設でも十分に対策が成されているはずです。
にも関わらず、今回、起こってしまいました。

腰椎多椎間手術で、手術時間が長時間になることは術前から予想されていました。

術後ははっきりしなかったのですが、
術翌朝に患者さんから右腕の様子がおかしいと相談されました。
腕全体のおもだるさとしびれがあり、握力が低下しています。
上腕神経障害でした。
体位トラブルについて自戒を込めてまとめます。

体位トラブル


体位トラブルは循環の低下や神経の圧迫による
皮膚トラブル

神経トラブル
に大別されます。

皮膚トラブル


皮膚トラブルはいわゆる床ずれです。

現在の手術台のマットの素材はテンピュールが多くて
体をなるべく、点ではなく面でうけて、圧が分散されるように工夫されています。

毛細血管の動脈圧は30mmHg程度といわれており
これを超える圧が局所にかかると循環の悪化をきたし、皮膚トラブルが起こってしまいます。

腹臥位では
・前胸部
・上前腸骨棘
・膝蓋骨部
・前脛骨部
・足趾先端
などが支持面であり、皮膚トラブルが心配される部位です。

ほか、点滴棒や、手術台などにより腋窩や、上腕、踵骨などが圧迫されてしまうことがあり
要注意です。

一番注意しないといけないのは眼球です。
麻酔科の先生が十分気をつけてくださいますが、一緒に共有しあったほうがよいでしょう。

ワセリンをぬったり、オリーブオイルをぬったり、ドレッシングを貼ったり
さまざまに工夫されていることと思います。

神経トラブル


今回発生しまった神経トラブル、、、

・腕神経叢 腋窩神経 上腕神経
・尺骨神経
・腓骨神経
・前外側大腿神経
などに注意が必要です。

・眼窩神経障害も同じく注意です。

腕神経叢は、
・頚部は正中で固定
・上腕の骨頭で圧迫されないように体軸と90度以上の外転をさける
・前腕は軽度内旋

尺骨神経は、
・肘関節の90度以上の屈曲をしない
・肘関節や上腕、前腕の圧迫物がないようにする


橈骨神経や腓骨神経にももちろん、いえることですが、、、

まとめ


予測されるトラブルは発生しないように前もって十分注意することが可能です。

今回は注意できていたでしょうか?
注意できる体制だったでしょうか?

二度と発生しないようにマニュアルとチェック項目を作って
主治医と看護師間で確認しあうようにしたいと思います!!