周術期の抗菌薬の適正使用について
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はじめに
周術期の抗菌薬の適正使用については、みなさんそれぞれの思いがあるでしょう。
エビデンスよりこれまでの経験を優先したい、という気持ちも否定はできません。
周術期抗菌薬の選択について
日本整形外科学会日本骨関節感染症学会による骨・関節術後感染予防ガイドラインの2015年改定で
周術期抗菌薬予防投与にペニシリンが外れています。
SSI: surgical sight infection由来のMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)40株のうち、
47.5%しかアンピシリンに感受性を持っていなかった
ということが主な根拠、とのことです。
47.5%、、、みなさんの思いはいかがでしょうか。
ブドウ球菌ならずぶどう畑・・・

だいたい6ヵ月−12ヵ月周期くらいで抗菌薬を変更していますが
これまでABPC+SBTが一番安心な気分でした、、、
ガイドラインでは、第一・第二世代セフェム系薬が推奨されております。
まったくの私見で申し訳ないのですが、
第一世代セフェム セファゾリンを使用していた時期が
SSIが多い気がしたんですが、、、
みなさんはどうですか?
抗菌薬を投与するタイミング
投与するタイミングは執刀直前と術中は3時間ごと、術後は24時間後までとしています。
手術時間が長かったり、易感染性宿主には48時間投与しております。
ガイドラインとしては、これはあまり意味がないようです。
48時間を境とした長期投与群と短期投与群でSSIのは亜製率に有意差が認められなかったからです。
気はココロ、というところです。
自分は、そういう潜在意識がからむところは重要だと思っています。
以上から、改訂版ガイドラインでは、投与タイミングは、
以前の24~48時間投与、ではなく、
48時間以内、と変更されています。
その他気になるところ
また、肥満患者(>80kg)へは、標準投与量から、増量投与が許容される、とされます。
確かに体重換算すると増量したくなりますよね。
あと、SSIにMRSAが増加している現状を踏まえ、
抗MRSA薬の予防投与は是か非か?
という疑問があります。
ガイドラインでは抗MRSA薬の予防的投与に関してはルーチンでは非推奨とされております。
しかしやっぱり、賛否両論あるようで、ガイドライン的には提示するのは難しいようです。
バンコマイシンパウダーの創部塗布についても記載はありません。
難しいですよね。
レッドマン症候群、どうなの?ということもあって、
わたしは行ったことはないのですが、、、
まとめ
SSIは絶対に起こしたくない合併症の一つです。
ガイドラインがすべて、というわけでなく、おそらく個々の工夫があることでしょう。
みなさん、SSI予防の自分なりのルール、よい工夫があればぜひご教示ください。
ガイドラインと真逆を行くわけにはいきませんが、、、
コメント
コメント一覧 (2)
コメントありがとうございます。
対岸の火事ではありませんので、常に自分もアップデートしていかなければ、と思っています。
今後もご指導のほどをよろしくお願い致します。
抗生剤の投与期間で感染率は変わらないものの、投与期間が長くなると耐性菌感染が多くなるという脊椎関連の論文があり、まさにその通りになり必死に戦っております。
幸い予防的にバンコマイシンを散布したおかげか、MRIでは深部の活動的な感染初見はまだ乏しいですが、表層はどえらいことになりました。
深部もサイレントな感染状態なのでしょうが、何とか持ちこたえてほしいと願っています!