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はじめに


下位頚椎やT1の棘突起の骨折の形態に
Clay-Shoveler’s fracture
というものがあります。

Clay-Shovelerは、いわゆるドカタ(土方)、という意味です。

Clay-Shoveler’s fractureについて


シャベルで土を掘ったり、雪かきをしたりするときに、
肩甲骨の動きで上肢帯筋にかなり強い張力がかかっているようです。
そのため、下位頚椎あるいはT1の棘突起が骨折してしまうのです。

わたしが経験したClay-Shoveler’s fractureは、薪割りをしていた際のものでした。

薪割りしていて、急に後頚部に痛みが走って受診され、
頚椎CTでC7棘突起骨折が判明しました。

頚椎椎弓形成術後の棘突起骨折


頚椎椎弓形成術では、C6/7部の除圧でC7椎弓頭側の部分切除を行うことがあります。

上肢帯筋付着部であるC7棘突起を温存することで、
術後の項部痛をなるべく減らしたい、という思いからです。

温存にこだわり、なおかつがんばって除圧しすぎると、
その部位から骨折してしまうことがあるのです。
ファイル 2016-03-24 17 27 47

この症例は、頚髄症に左C8のradicular painが合併し、
薬物加療で改善が得られないため、手術適応としました。

C7椎弓形成に左C7/T1のforaminotomyを追加した症例ですが、
その1ヵ月後に変形性膝関節症の手術を受けていたのです。

車いす移動に注意


免荷のため、車いすで行動していたのですが、
どうやら、そのときに骨折してしまったようです。
椎弓根まで及んでおりかなり強い力の関与が疑われます。

幸い疼痛はしばらくの経過で軽減しましたが、
なんともイヤな気持ちになりました。

まとめ


頚椎椎弓形成術後に後頚部痛や肩甲背部の痛みの訴えが会った場合は、
単なる術後の痛みと軽視せずに
棘突起骨折を疑って頚椎CTを撮像することをおすすめします。

頚椎Xpでは肩関節に遮られてC7やT1は可視されません。

また、車いす移動、あなどることなかれ、です。

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