BKP : balloon kyphoplasty適用のタイミング
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はじめに
BKP: balloon kyphoplastyの手技は本邦では2011年に保険収載され開始されました。
高齢化社会を迎え、独居高齢者や、老々介護が問題になっております。
骨粗鬆症椎体骨折はどんどん増加していることを実感します。
患者さんを悩ます、骨粗鬆症性椎体骨折によるつらい体動に伴う痛み。
これが治療早期に緩和されることが治療のメリットになります。
BKPを行うか保存加療を行うかの判断が難しい
ただ、コルセットによる保存加療でも改善が得られるため、
全例がBKPの適応となるわけではありません。
そこで、
どの患者さんにBKPを行って、どの患者さんに保存加療をおこなうか
の線引きは、実は非常に大切なことです。
ところが、けっこう単純にはいきません。
BKP導入期の適応
導入当初は、
十分な保存加療を行ったにも関わらず改善が得られない症例に適応される
とされ、十分な保存加療、の期間の目安が8週間でした。
8週以上経過した治癒が悪い椎体骨折
8週で改善が得られない骨折椎体は、実はBKPでうまく治療できないことが多いのです。
骨折椎体の8週の変化として
・一部が硬化して一部は線維化しているような状態になっており
バルーンで椎体をしっかり広げることができない
・椎体が楔状化してBKPするには十分なスペースがない
・後壁のみ癒合が得られ、前壁部で圧潰があるような状態となって、
BKPは行ったものの後弯変形が強く残存する
などが問題になります。
よってBKPが適応される時期になった時にすでにBKPではうまく治療できなくなってしまうケースがあるのです。
早期の段階でうまくいかないケースも存在する
また、保存加療開始して、
・急に圧潰が進行してしまうケース
・そのため局所の後弯までもが急に進行してしまうケース
・超高齢者や脳血管障害後遺症患者など安静加療を行うことで
あっという間に廃用が進行して寝たきりになってしまうケース
などもあり、早期からBKP治療を適応したほうが経過がよさそうでもあり、
単純にはいかないと思っておりました。
例外としてBKPの早期施行を検討する症例
今回、苑田会東京脊椎脊髄病センター、センター長の星野雅洋先生が監修されたBKPのパンフレットを読んで、感銘を受けました。
まったく同感で、うまくまとめれなかったことが非常にわかりやすくまとめてありました。
例外として早期施行を検討する症例
・局所後彎の増強や圧潰が進行する症例
・局所後弯が残存することで脊柱アライメント障害による症状が残存する可能性が高いと判断される症例
・安静が好ましくない症例(超高齢者、脳血管障害、他疾患による廃用が危惧される症例)
・高度脊柱変形等の体幹の形状による外固定困難例
あと、各種画像で圧潰が急速に進行するサインを有する症例
・T2強調画像での椎体内広範囲低輝度の存在するもの
・高輝度限局型を呈するもの
・造影脂肪抑制画像で、広範囲欠損型を呈するもの
基本的には保存加療で改善が得られることが多いので
保存加療を第一に選択すべきだと思います。
パンフレットでは原則4週間とされていました。
画像上の変化のチェックは脊椎の専門医で判断すべきなのは言うまでもありません。
まとめ
BKPは疼痛緩和にはよいですが、
骨粗鬆症の加療(とくにPTH)でしっかり支えていかないと
隣接椎体骨折が問題になります。
Make your first brake your last !!
の気持ちでお付き合いしていくことが一番重要なことではないでしょうか。
★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。
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