カテゴリ:
スポンサードリンク
58


はじめに


第45回日本脊椎脊髄病学会に参加しています。

幕張は初めてです。
けっこう、遠いことに驚いてしまいました。

本日の記事は
BKPの問題点の一つ
新規椎体骨折発生の予防対策
についてです。

BKPは骨粗鬆症性椎体骨折の痛みの緩和に有効


BKPの目的は、
骨粗鬆症性椎体骨折による体動時痛の緩和
です。
術直後から疼痛の改善を実感することができるので、
早期にADLの改善を得ることができます。
結果、QOLの改善につながります。

保存加療が有効な場合は痛みの経時的な改善が得られますが
段階的に改善していくため、それなりの期間、痛みがあります。

BKPの痛みの緩和の切れ味はすさまじく、
BKP治療を受けた方は
「もっと早くにしておけばよかった」
と口にされることも多いです。

治療適応のタイミング


本邦に導入されるにあたり
8週以上の保存加療に抵抗する疼痛
というプロトコールで治験が始まりました。
保険収載が得られた現時点では添付文書において
十分な保存加療に抵抗する骨粗鬆症性椎体骨折による痛み
とありますが、この、“十分な”はいったいどのくらいの期間なのか
見解が一定ではありません。
だいたい4〜8週、といった印象があります。

ただし、骨折した方の中には廃用が進行してほしくない方がおられます。
具体的には、
・廃用がこれ以上すすんでほしくない超高齢者、とくに独居老人
・もともと片麻痺などの運動障害があり、健側の廃用がすすむと、
もう車いすや寝たきりに準拠してしまうような方
です。

以前にも記事にしましたが(BKP 適用のタイミング)、
こういった方は、入院のもと1〜2週程度の保存加療でADLが上がらないようならば、
積極的にBKPを導入しています。

BKPの問題点


BKPの問題として
・整復不足
・セメントの漏出
・隣接椎体や遠隔椎体に新規骨折を発症してしまう
などが挙げられます。

とくに隣接椎体骨折は治療後1ヵ月から3ヵ月以内の早期に発症することが大多数です。

せっかくよくなったのに、また痛い思いをすることになります。

確実な対策はありませんが、
今回学会に参加して多くの意見を伺うことができました。

BKP後の新規椎体骨折を予防するために


1)まずPTH製剤の導入です。
早ければ早いほどよいでしょう。

以前のわたしの施設でも評価しました。

ビスフォスフォネート製剤を用いていたときは30%くらい新規骨折を起こしていました。
PTH製剤を積極的に用いるようになって10%くらいに抑えることができました。

2)そしてコルセットによる後療法です。
コルセットの種類や期間についてはまだまだ議論の余地があるのですが、
やはり新規骨折が1ヵ月から3ヵ月の早期に多いため、
術後2〜3ヵ月程度のコルセット装着期間を設けている施設が多かったです。

画像では、整復された椎体が経時的に損失変化が起こってくることもあり、
痛みが改善したからといってすぐにコルセットをはずさないようにしているとのことでした。

本日のまとめ


BKP後の新規椎体骨折の予防について
わたしたちの治療方針と一致していて安心いたしました。

学会に参加する一番いいところは、他施設の工夫を伺うことができることです。
じぶんたちの施設の方針がより標準化されるように
これからも学会活動、論文活動を継続していくことが大事ですね。

★★★★★
星地先生の経験と知識が余すところなく収められております。教科書らしくない教科書で、非常にわかりやすい!そして、なにより面白いです。絶対に一読すべきテキストです。