化膿性椎間板炎は確定診断が遅れがち
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はじめに
高齢者や易感染性宿主の増加により
感染性疾患はおそらくどの領域においても増加傾向にあることと思います。
脊椎領域にも
化膿性脊椎炎や椎間板炎
硬膜外膿瘍や腸腰筋膿瘍
などといった細菌感染症があります。
本日の救急カンファレンスです。
化膿性椎体椎間板炎の初期診断は難しい
化膿性椎体椎間板炎は、
発症初期は変性疾患と画像上は区別が付かず
診断の遅れが問題です。
症状から常に可能性を否定しないことが大切だと思います。
症例提示
症例は40代男性。
発熱と腰痛、腹痛まで出現した、といういので救急要請となりました。
腹痛と腰痛の訴えがあるため
救急での初期診断は、胸腹部単純CTを撮像され
虫垂炎と腎盂腎炎
として外科入院となりました。
強い腰痛があるため当科にもコンサルトがありました。
感染性疾患を疑って、腰椎MRIを撮像しました。
画像所見

読影では4/5椎間板の膨隆あるが新鮮病変は明らかでない、と。
症状からは明らかに腰椎由来に思えました。
画像はたしかに確定診断するほどはっきりしません。
しかし、臨床経過と症状から、やっぱり化膿性椎間板炎を第一に疑いました。
MRIを1w後に再検することと、
他の熱源検索も同時に行うことといたしました。
臨床経過
外科のほうでは胸腹部骨盤部の造影CTによる検索を行ってくれました。
他に心エコーを追加しました。
結核に関しても評価しました。
いずれも明らかな感染性所見はありませんでした。
血液培養を提出しましたが起炎菌は検出されませんでした。
抗菌薬加療が行われましたが、発熱と腰痛は改善が得られませんでした。
腹痛は改善しましたが、、、
1w後のMRI。

L4/5に感染所見がありました。
いったん抗菌薬を休薬し、経皮的椎間板掻爬洗浄ドレナージを施行いたしましたが
これでも起炎菌は検出されませんでした。
ですが、その後の臨床経過は良好で、速やかに解熱、炎症反応の改善が得られました。
本日のまとめ
このように化膿性椎間板炎は、初期には画像で確定診断が得られないことも多々あります。
施設によってはFDG-PETを行うことも可能でしょうが、限定的です。
炎症反応陽性、臨床経過、症状などで初期から加療しつつ
疑って画像フォローを行うことが重要です。
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